シメプレビル併用療法における治療効果関連因子とリバビリン不耐容例への適応の検討

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 26860503
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 小瀬 嗣子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (30623582)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: C型肝炎 / シメプレビル / 治療効果関連因子 / 薬剤耐性変異ウイルス

研究実績の概要

我々は、大阪大学を中心とした多施設共同研究において、Pegylated interferon(Peg-IFN)/Ribavirin(RBV)が施行された約4500例、Telaprevir(TVR)/Peg-IFN/RBVが施行された約250例のC型肝炎症例を用いて、治療効果に関連する因子を検討してきた。また、Peg-IFN/RBV施行例を用いて肝発癌に関する因子を検討してきた。現在、C型肝炎の抗ウイルス療法では、IFN-based療法であるSimeprevir(SMV)Peg-IFN/RBV療法の治療効果に関連する因子を検討している。また、ヘモグロビン低値例に対するSMV/Peg-IFN/RBV療法のRBV減量投与の有用性についても検討している。さらに、Peg-IFN/RBV無効例、TVR/Peg-IFN/RBV非著功例におけるSMV/Peg-IFN/RBV療法については、薬剤耐性ウイルスの治療効果に及ぼす影響についてもdeep-sequence法を用いて検討を行っている。IFN-free治療では、Asunaprevir/Daclatasvir(ASV/DCV)、Sofosbuvir/Ribavirin(SOF/RBV)、Ledipasvir/Sofosbuvir(LDV/SOF)療法の治療効果に関連する因子を検討している。また、SMV/Peg-IFN/RBV非著功例におけるASV/DCV療法については、薬剤耐性ウイルスの治療効果に及ぼす影響についてもdeep-sequence法を用いて検討を行っている。さらに、SMV/Peg-IFN/RBV併用療法における著効後発癌症例の臨床的特徴を検討するためデータを蓄積中であり、今後、肝発癌に関連する因子を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大阪大学を中心とした多施設共同研究において、2014年度末までにSMV/Peg-IFN/RBVが施行された約700例、ASV/DCVが施行された約300例が登録されており、前向き検討を行っている。
SMV/Peg-IFN/RBV療法において、IL28B遺伝子多型およびRBV投与量が治療効果に関与することを見出し、論文発表した。また、安全性について、ビリルビン上昇や肝酵素上昇について、その特徴や関連因子を見出し、論文発表した。RBV減量投与例についても治療効果・安全性について検討し、学会発表予定である。TVR/Peg-IFN/RBV非著効例における薬剤耐性ウイルスの検討について、論文投稿中である。Peg-IFN/RBV無効例において、治療後再燃が長期投与によって抑制されることを見出し、論文作成中である。
SMV/Peg-IFN/RBV非著功例に対するASV/DCV療法の治療効果について、dep-sequence法におる薬剤耐性ウイルスの検討を行っており、論文化を目指している。
SOF/RBV、LDV/SOF施行例の前向き検討を行い、データを蓄積中である。

今後の研究の推進方策

SOF/RBV、LDV/SOF療法施行例において、治療効果関連因子、安全性について検討する。
さらに、SMV/Peg-IFN/RBV、ASV/DCV施行例の発癌について前向き研究を行い、
発癌に関与する因子について検討する。

研究成果

• [雑誌論文] The impact of an inosine triphosphate pyrophosphatase genotype on bilirubin increase in chronic hepatitis C patients treated with simeprevir, pegylated interferon plus ribavirin. (2016)
  • 著者名/発表者名: Tahata Y, Hiramatsu N, Oze T, Morishita N, Harada N, Yamada R, Yakushijin T, Mita E, Hagiwara H, Yamada Y, Ito T, Hijioka T, Inada M, Katayama K, Tamura S, Yoshihara H, Inoue A, Imai Y, Irishio K, Kato M, Hikita H, Sakamori R, Miyagi T, Yoshida Y, Tatsumi T, Hamasaki T, Hayashi N, Takehara T.
  • 雑誌名: J Gastroenterol. 巻: 51(3) ページ: 252-9
  • DOI: 10.1007/s00535-015-1105-9.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Emergence of hepatitis C virus NS5A L31V plus Y93H variant upon treatment failure of daclatasvir and asunaprevir is relatively resistant to ledipasvir and NS5B polymerase nucleotide inhibitor GS-558093 in human hepatocyte chimeric mice. (2015)
  • 著者名/発表者名: Kai Y, Hikita H, Tatsumi T, Nakabori T, Saito Y, Morishita N, Tanaka S, Nawa T, Oze T, Sakamori R, Yakushijin T, Hiramatsu N, Suemizu H, Takehara T.
  • 雑誌名: J Gastroenterol. 巻: 50(11) ページ: 1145-51
  • DOI: 10.1007/s00535-015-1108-6.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Efficacy of pegylated interferon and ribavirin combination therapy for patients with hepatitis C virus infection after curative resection or ablation for hepatocellular carcinoma--A retrospective multicenter study. (2015)
  • 著者名/発表者名: Harada N, Hiramatsu N, Oze T, Tatsumi T, Hayashi N, Takehara T.
  • 雑誌名: J Med Virol. 巻: 87(7) ページ: 1199-206
  • DOI: 10.1002/jmv.24173.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Impact of alpha-fetoprotein on hepatocellular carcinoma development during entecavir treatment of chronic hepatitis B virus infection. (2015)
  • 著者名/発表者名: Yamada R, Hiramatsu N, Oze T, Morishita N, Harada N, Yakushijin T, Iio S, Doi Y, Yamada A, Kaneko A, Hagiwara H, Mita E, Oshita M, Itoh T, Fukui H, Hijioka T, Katayama K, Tamura S, Yoshihara H, Imai Y, Kato M, Miyagi T, Yoshida Y, Tatsumi T, Kasahara A, Hamasaki T, Hayashi N, Takehara T; Osaka Liver Forum.
  • 雑誌名: J Gastroenterol. 巻: 50(7) ページ: 785-94
  • DOI: 10.1007/s00535-014-1010-7.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [学会発表] Utility of acoustic radiation force impulse (ARFI) for predicting treatment response of patientswith chronic hepatitis C receiving triple therapy with protease inhibitor plus pegylated interferon and ribavirin. (2015)
  • 著者名/発表者名: Yamada R, Hiramatsu N, Oze T, Urabe A, Tahata Y, Morishita N, Yakushijin T, Yoshida Y, Tatsumi T, Imai Y, Takehara T.
  • 学会等名: The American Association for the Study of Liver Diseases 66th Annual meeting
  • 発表場所: San Francisco, CA, USA
  • 年月日: 2015-11-14 – 2015-11-17
  • 国際学会
• [学会発表] Resistant-associated variants analyzed by deep sequence of retreatment with simeprevir-based triple therapy after failure of telaprevir-based triple therapy in patients with genotype 1 hepatitis C virus infection. (2015)
  • 著者名/発表者名: Morishita N, Hiramatsu N, Oze T, Tahata Y, Yamada R, Yakushijin T, Yamada A, MitaE, Nagase T, Yamada Y, Ito T, Tsujii M, Inada M, Imai Y, Hikita H, Sakamori R, Yoshida Y, Tatsumi T, Hayashi N, Takehara T.
  • 学会等名: The American Association for the Study of Liver Diseases 66th Annual meeting
  • 発表場所: San Francisco, CA, USA
  • 年月日: 2015-11-14 – 2015-11-17
  • 国際学会
• [学会発表] High ribavirin dose and extended treatment can raise sustained virologic response in chronic hepatitis C genotype 1 patients treated with simeprevir, pegylated interferon plus ribavirin. (2015)
  • 著者名/発表者名: Tahata Y, Hiramatsu N, Oze T, Urabe A, Morishita N, Yamada R, Yakushijin T, Saji Y, Doi Y, Hagiwara H, Kaneko A, Fukui H, Inada M, Katayama K, Inoue A, Yoshida Y, Tatsumi T, Hayashi N, Takehara T.
  • 学会等名: The American Association for the Study of Liver Diseases 66th Annual meeting
  • 発表場所: San Francisco, CA, USA
  • 年月日: 2015-11-14 – 2015-11-17
  • 国際学会
• [学会発表] Risk factors for progression of liver disease status in Japanese patients with non-alcoholic steatohepatitis. (2015)
  • 著者名/発表者名: Urabe A, Hiramatsu N, Oze T, Yakushijin T, Yamada R, Morishita N, Tahata Y, Yoshida Y, Tatsumi T, Oshita M, Kaneko A, Mita E, Tsujii M, Nagase T, Fukui H, Suzuki K, Inoue A, Imai Y, Takehara T.
  • 学会等名: The American Association for the Study of Liver Diseases 66th Annual meeting
  • 発表場所: San Francisco, CA, USA
  • 年月日: 2015-11-14 – 2015-11-17
  • 国際学会
• [学会発表] C型肝炎に対する抗ウイルス療法と発癌抑制効果 多施設共同研究 (2015)
  • 著者名/発表者名: 小瀬 嗣子, 平松 直樹, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第19回日本肝臓学会大会
  • 発表場所: グランドプリンスホテル新高輪（東京都）
  • 年月日: 2015-10-08 – 2015-10-09
• [学会発表] NASH症例の肝線維化進展に関連する因子および長期予後についての検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 卜部 彩子, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 薬師神 崇行, 山田 涼子, 森下 直紀, 田畑 優貴, 吉田 雄一, 巽 智秀, 尾下 正秀, 金子 晃, 三田 英治, 辻井 正彦, 永瀬 寿彦, 鈴木 都男, 福井 弘幸, 井上 敦雄, 今井 康陽, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第19回日本肝臓学会大会
  • 発表場所: グランドプリンスホテル新高輪（東京都）
  • 年月日: 2015-10-08 – 2015-10-09
• [学会発表] C型慢性肝炎における薬剤耐性変異とダクラタスビル・アスナプレビル併用療法の有用性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 森下 直紀, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 山田 涼子, 薬師神 崇行, 飯尾 禎元, 山田 晃, 萩原 秀紀, 三田 英治, 山田 幸則, 稲田 正己, 乾 由明, 吉原 治正, 田村 信治, 今井 康陽, 疋田 隼人, 吉田 雄一, 巽 智秀, 林 紀夫, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第19回日本肝臓学会大会
  • 発表場所: グランドプリンスホテル新高輪（東京都）
  • 年月日: 2015-10-08 – 2015-10-09
• [学会発表] C型肝炎難治群に対するシメプレビル3剤併用療法の有効性と薬剤耐性変異の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 森下 直紀, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 田畑 優貴, 薬師神 崇行, 尾下 正秀, 萩原 秀紀, 三田 英治, 伊藤 敏文, 稲田 正己, 片山 和宏, 吉原 治正, 田村 信司, 今井 康陽, 加藤 道夫, 疋田 隼人, 吉田 雄一, 巽 智秀, 林 紀夫, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第19回日本肝臓学会大会
  • 発表場所: グランドプリンスホテル新高輪（東京都）
  • 年月日: 2015-10-08 – 2015-10-09
• [学会発表] Genotype 1型C型慢性肝炎の初回治療例に対するSimeprevir/Peg-IFN/RBV併用療法の有用性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 田畑 優貴, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 森下 直紀, 薬師神 崇行, 佐治 雪子, 尾下 正秀, 萩原 秀紀, 三田 英治, 福井 弘幸, 肱岡 泰三, 片山 和宏, 田村 信司, 吉原 治正, 井上 敦雄, 今井 康陽, 宮城 琢也, 巽 智秀, 林 紀夫, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第19回日本肝臓学会大会
  • 発表場所: グランドプリンスホテル新高輪（東京都）
  • 年月日: 2015-10-08 – 2015-10-09
• [学会発表] C型慢性肝疾患に対する3剤併用療法におけるARFI(acoustic radiation force impulse)測定の有用性 (2015)
  • 著者名/発表者名: 山田 涼子, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 田畑 優貴, 森下 直紀, 原田 直毅, 疋田 隼人, 阪森 亮太郎, 藥師神 崇行, 吉田 雄一, 巽 智秀, 今井 康陽, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第19回日本肝臓学会大会
  • 発表場所: グランドプリンスホテル新高輪（東京都）
  • 年月日: 2015-10-08 – 2015-10-09
• [学会発表] Genotype1型C型慢性肝炎に対するIFN-based therapyの難治要因と著効後発癌に関与する因子について (2015)
  • 著者名/発表者名: 小瀬 嗣子, 平松 直樹, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第51回日本肝臓学会総会
  • 発表場所: ホテル日航熊本（熊本市）
  • 年月日: 2015-05-21 – 2015-05-22
• [学会発表] C型慢性肝炎に対するSimeprevir/PEG-IFN/Ribavirin併用療法の治療効果に関する検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 安岡 秀高, 澤井 良之, 福田 和人, 井倉 技, 小来田 幸世, 大西 孝典, 八木 麻衣, 谷 瑞季, 岩本 剛幸, 岡部 純弥, 山縣 洋介, 松本 康史, 中原 征則, 厨子 慎一郎, 入潮 佳子, 今井 康陽, 小瀬 嗣子, 平松 直樹, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第51回日本肝臓学会総会
  • 発表場所: ホテル日航熊本（熊本市）
  • 年月日: 2015-05-21 – 2015-05-22
• [学会発表] ペグインターフェロン・リバビリン無効例に対するシメプレビル3剤併用療法の有効性と耐性変異の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 森下 直紀, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 田畑 優貴, 原田 直毅, 山田 涼子, 名和 誉敏, 藥師神 崇之, 萩原 秀紀, 三田 英治, 伊藤 敏文, 稲田 正己, 吉原 治正, 田村 信司, 今井 康陽, 加藤 道夫, 疋田 隼人, 宮城 琢也, 吉田 雄一, 巽 智秀, 林 紀夫, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第51回日本肝臓学会総会
  • 発表場所: ホテル日航熊本（熊本市）
  • 年月日: 2015-05-21 – 2015-05-22
• [学会発表] 核酸アナログ治療中のB型慢性肝疾患症例における長期予後の検討 多施設共同研究 (2015)
  • 著者名/発表者名: 山田 涼子, 平松 直樹, 田畑 優貴, 森下 直紀, 原田 直毅, 小瀬 嗣子, 藥師神 崇行, 宮城 琢也, 吉田 雄一, 巽 智秀, 三田 英治, 尾下 正秀, 伊藤 敏文, 肱岡 泰三, 吉原 治正, 今井 康陽, 林 紀夫, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第51回日本肝臓学会総会
  • 発表場所: ホテル日航熊本（熊本市）
  • 年月日: 2015-05-21 – 2015-05-22
• [学会発表] Genotype1型C型慢性肝炎の初回治療例に対するSimeprevir/Peg-IFN/RBV併用療法の有用性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 田畑 優貴, 平松 直樹, 小瀬 嗣子, 森下 直紀, 原田 直毅, 山田 涼子, 藥師神 崇行, 萩原 秀紀, 三田 英治, 山田 幸則, 肱岡 泰三, 片山 和宏, 田村 信司, 吉原 治正, 今井 康陽, 疋田 隼人, 宮城 琢也, 吉田 雄一, 巽 智秀, 林 紀夫, 竹原 徹郎
  • 学会等名: 第51回日本肝臓学会総会
  • 発表場所: ホテル日航熊本（熊本市）
  • 年月日: 2015-05-21 – 2015-05-22
• [図書] Annual Review 2016 消化器 (2016)
  • 著者名/発表者名: 小瀬 嗣子、平松 直樹、竹原 徹郎
  • 総ページ数: 10
  • 出版者: 中外医学社
• [図書] 医薬ジャーナル (2016)
  • 著者名/発表者名: 平松直樹、小瀬嗣子
  • 総ページ数: 7
  • 出版者: 医薬ジャーナル社
• [図書] 肝・胆・膵 (2015)
  • 著者名/発表者名: 平松直樹、小瀬嗣子
  • 総ページ数: 8
  • 出版者: （株）アークメディア
• [図書] クリニシアン (2015)
  • 著者名/発表者名: 小瀬嗣子
  • 総ページ数: 7
  • 出版者: （株）エーザイ
• [図書] 消化器の臨床 (2015)
  • 著者名/発表者名: 平松直樹、小瀬嗣子
  • 総ページ数: 7
  • 出版者: ヴァンメディカル