GIST-T1細胞株における網羅的遺伝子発現解析:エピジェネティックな遺伝子サイレンシングの解除を目的にGIST-T1細胞株に5aza-dCおよび4 -PBAによる薬剤処理を行った後にAgilentの遺伝子発現アレイを用いて発現変化を網羅的に解析したところ約1万プローブのnoncodingRNAのうち709 probeにおいて薬剤処理後に発現上昇が認められた。統計学的処理および転写開始点近傍nCpG islandの有無にてさらに絞り込みを行い、58 probeをエピジェネティックな機序で不活化されているnoncoding RNA候補として抽出した。 ヒストン修飾状態の解析:薬剤処理により変化する、転写活性化のマーカーとなるヒストンH3K4のトリメチル化の状態を解析するために薬剤処理前後の細胞株DNAを用いてChIP シークエンス解析を行った。シークエンス後にアライメント、MACS2によるピーク解析を行い、約14000のdifferntial peakを検出した。 遺伝子発現アレイとヒストン修飾状態の統合解析:薬剤処理後に上昇するピークと遺伝子発現を統合解析し、数個のエピジェネティックな機序で転写抑制を受けると考えられるnoncoding RNAを絞り込んだ。また、qPCR法を用いてそれらのnoncoding RNAの発現上昇をValidationした。 noncoding RNAのメチル化解析:130例のGISTの臨床検体より抽出したDNAをbisulfite処理後に、pyrosequencing法を用いてメチル化状態を解析した。メチル化状態と臨床病理学的所見の比較検討によりtumor suppressiveに働くと考えられているnoncoding RNAのCpG island高メチル化が予後不良と相関することが確認された。
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