研究課題/領域番号 |
26860523
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
北出 光輝 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40526795)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝再生 / NOTCH |
研究実績の概要 |
インタープロテイン社と提携し、同社の開発したNOTCH1選択的阻害剤を用いて基礎実験および動物実験を開始した。対照群としてpan-NOTCH阻害剤であるDAPT(γ-secretase inhibitor)を用いた。NOTCH1阻害剤、DAPTともに、in vitroでの肝前駆細胞の分化において、胆管細胞分化を強く抑制し、肝細胞分化を著明に促進した。このことからNOTCHが肝前駆細胞を胆管分化の方向に向けていることが確認された。次にマウス肝障害モデル(DDC摂食モデル)においてNOTCH1阻害剤またはDAPTを投与したところ、DAPT投与群では肝前駆細胞の分化運命が肝細胞に傾いていたものの肝重量や体重の増加が認められず、結果として肝再生効率の増加が認められなかったのに対し、NOTCH1阻害剤投与群では非投与群と比較して、有意な肝重量・体重の増加を認めており、また免疫組織学的検討では肝前駆細胞から生まれる新生肝細胞の著明な増加が認められたため、結果としてNOTCH1阻害剤によるより効率的な肝再生の可能性が示唆された。この原因として、NOTCH1選択阻害と比較してDAPTによるpan-NOTCH阻害では、肝前駆細胞の分化運命の変更に加えて、肝細胞などの既存の細胞において細胞増殖障害などの何らかのeventが起こった可能性を考慮し、今後さらなるメカニズムの検討を行っていく予定である。また、今回の事象の再現性を確認するため、別のマウス肝障害モデルにおいても同様の結果を得ることができるかどうか、確認していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で目標にしていたin vitroでの機能解析、および一つ目の動物モデルでの解析が進んでおり、次年度に予定していた別モデルでの検証に進むことができそうである。
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今後の研究の推進方策 |
上記記載の通り、再現性確認のため別のマウス肝障害モデルも用いて検証実験を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
おもにin vitroでの資材購入費が実験の進捗により予想よりも少なく済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
この費用を利用してin vivoの検証実験に充てる予定である。
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