欧米で急増している食道腺がんは、胆汁酸の食道内への逆流が主要因である。また中心性肥満は食道腺がんの主要なリスク因子である。一般に中心性肥満の進行に伴い血中アディポネクチンが低下する。一方、我々は胆汁酸刺激が核内胆汁酸受容体FXRの活性化およびmiR-221/222の亢進を介して発がん促進に寄与することを報告していたが、今回さらにmiR-221/222がCOX-2発現を増加させることを見出した。更にアディポネクチンはこのCOX-2上昇を是正する作用があるがわかった。この結果は、中心性肥満を有する食道腺がんハイリスク症例にはアディポネクチン受容体作動薬による化学予防が有効である可能性を示唆した。
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