研究課題
ADAM10 Conditional knockout(Adam10fl/fl/ MX1-Cre+)マウスで、骨髄・脾臓中の造血幹細胞および骨髄系細胞の顕著な増加が観察された(Yoda M et al. Blood 2011)。また同研究において血球細胞のNotch標的分子の有意な減少を認め、この骨髄系細胞増加はNotchシグナル伝達抑制によるものと考えられた。我々はAdam10fl/fl/MX1-Cre+ knockoutマウスの観察において腸ポリープの出現を確認した。本研究では組織特異的なADAM10 knockoutを起こすマウスを作製し、分子生物学的および細胞生物学的解析によりADAM10 knockoutによるポリープ形成機序の解明を行う。
2: おおむね順調に進展している
現在までの研究は計画通り進んでいる.ADAM10 flマウスとVillin-CreERならびにMx1Creマウスとの交配によりコンディショナルアウトマウスの作製を行った.腸管特異的なADAM10ノックアウトマウスは杯細胞の数の上昇と幹細胞の低下を認めた.本形質はMX1-Cre+ knockoutマウスでは認められなかった.一方,MX1-Cre+ knockoutマウスでは血管内皮細胞マーカーであるCD31を発現するポリープ形成を認めた.現在本ポリープの細胞生物学的な解析を行っている.
Villin-CreERとMx1CreマウスのCre発現形質の変化に注目して研究を進展させていく.CD31発現を認める腸管ポリープは臨床的に稀であり,疾患モデルとしての可能性を病理学教室とともに模索していきたい.
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