研究課題/領域番号 |
26860530
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
杉本 勝俊 東京医科大学, 医学部, 講師 (20385032)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 不可逆電気穿孔法 / IRE / 悪性肝腫瘍 / ナノナイフ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,不可逆電気穿孔法(Irreversible Electroporation: IRE)を基軸とした,悪性肝腫瘍の低侵襲治療法を開発し,新たな治療法として臨床応用へと展開するための橋渡しとなる研究基盤を確立することである。それを達成するために,現在まで下記の検討をおこなった。 ①IREによる血管(動脈,門脈,静脈)神経,胆管,胆嚢,および消化管への影響の検証。 ②IRE後の治療変化を経時的に評価する―特に画像と病理との対比。 結果:①ブタの肝臓(血管近傍)と胃に対しIRE焼灼を行ったところ,肝動脈,門脈,胆管の上皮に一時的な障害を認めたが,線維性の構造は保たれており,焼灼1か月後の確認では,組織障害は全く確認されなかった。また,胃壁に対してもIRE焼灼を行ったが,消化管穿孔は生じることはなかった。以上より,IREは肝臓の大血管近傍の腫瘍に対しても,安全かつ効果的に治療できる可能性が示唆された。また,将来的には胃癌に対しても本治療を適応しうることが示唆された。②IRE直後の治療域の判定では,造影超音波がBモード超音波と比べ病理学的な焼灼域をより正確に反映しており,有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の目標であった,以下の項目に関し実験を遂行することができたため。 ①IREによる血管(動脈,門脈,静脈)神経,胆管,胆嚢,および消化管への影響の検証。 ②IRE後の治療変化を経時的に評価する―特に画像と病理との対比。
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今後の研究の推進方策 |
今までの検討は,動物実験が中心であったが,今までの研究成果を踏まえ,IREの臨床応用を進めていく予定である。具体的は対象疾患は,肝細胞癌,転移性肝癌,胆管細胞癌(肝門部胆管癌も含む),膵癌である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の経費としてIREの電極針を計上していましたが、充足していたため本年度は購入しなかったためです。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は実験遂行のためIREの電極針が必要ですので、本年度の経費で購入する予定です。
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