Positiveモードの良性、悪性、両方において保持時間(Retention time; R.T.)に複数のピークが検出された。特に良性ではR.T.13.5~15.0minに非常に強い強度のブロード状のピークが検出され、一方Negativeモードでは両サンプル共にR.T.1.5min~6.5minに複数雨のピークが検出された。また両サンプルにおいてR.T.13.5min~15minにもブロード状のピークが検出された。これらのTICから単糖類のMSクロマトグラムからピーク強度を算出した結果、両サンプルのヘキソサミン類およびN-アセチルグルコサミンは不検出であった。ヘキソースは2.88E+04、N-アセチルグルコサミンは1.90E+04であtぅた。ピークプロセシングの結果、Positiveッモードの分析結果から1659成分が、また、Negativeモードの分析結果から1189成分が検出された。ピークと判断できたものは、Positiveモードで222成分、Negativeモードで149成分であった。これらのうち、良性からは361成分、悪性からは253成分が検出された。データベース検索の結果、良性では361成分中352成分に候補物質があり、253成分中244成分に候補物質が検出された。本分析条件において検出される可能性が高いイオンを絞り込んだところ良性で286成分、悪性で204成分となったが、これ以上の同定は不能であった。理由として、保存膵液の条件あるいは膵液の個体差が考えられ、さらなる検体数を増やして行うか、手術中の膵液を採取し、造影剤や、腸液の影響がない状態で検討する必要があると考えられた。
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