研究課題/領域番号 |
26860533
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
朝井 章 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30622146)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マクロファージ |
研究実績の概要 |
患者に出現するM2Mφは、腫瘍細胞殺傷性M1Mφ等の出現を阻止する。M2Mφの出現や機能を制御出来れば、宿主の腫瘍細胞抵抗性が引出され、自然治癒への道が開かれると考えられる。申請者は、既に進行期肝細胞癌患者にM2bMφが特異的に出現する事を確かめ、M2bMφを効果的に制御する方法をあみ出した。それはM2bMφをCCL1阻害剤処理によりレジデントMφに先祖返りさせる方法であるが、さらに先祖返りした細胞をM1Mφへと変換せしめる事にも成功した。先祖返り処理を施された個体が、日和見感染症に抵抗性となる事も実験的に明らかにしている。申請者は、今回肝癌患者でもM2bMφを制御する事により、腫瘍抵抗性を回復させ得ると考えた。本研究の目的は、CCL1阻害剤の進行期肝細胞癌に対する有効性を患者由来腫瘍細胞を使用して検討する事である。 プロジェクト1年目は、20人の進行期肝細胞癌患者由来のCD14+CD163+細胞(IL-12-IL-10+ 細胞, M2b単球)から、CCL1阻害剤(抗CCL1抗体、CCL1 antisense ODN及びCCL1レセプタ―阻害薬)を用い、レジデント単球(CD14+IL-12-IL-10-CD163-細胞)に先祖返りさせる。各々の阻害剤のM2b単球に対する先祖返り作用について、その至適濃度と反応時間を検討し、最も効果的な阻害剤とその使用方法を検討する。先祖返りした単球は、更に同患者由来肝腫瘍細胞と混合培養し、M1Mφ (CD14+IL-12+IL-10- CD163-細胞)を誘導することを目的とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
20人の進行期肝細胞癌患者由来のCD14+CD163+細胞(IL-12-IL-10+ 細胞, M2b単球)から、CCL1 antisense ODNを用いたところ、効果的にレジデント単球(CD14+IL-12-IL-10-CD163-細胞)に先祖返りさせ売る濃度、時間を発見した。更に先祖返りした単球を、M1 inducerであるCpG DNAもしくは同患者由来肝腫瘍細胞と混合培養し、M1Mφ (CD14+IL-12+IL-10- CD163-細胞)を誘導することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は別の20人の進行期肝細胞癌患者末梢血からM2b単球を分離し、効果的な免疫細胞を持たない好中球除去NSGマウスの尾静脈へ移入し、さらに肝癌細胞(Hep G2細胞)もしくは同患者由来肝腫瘍細胞を右側腹部皮下に移植し、肝細胞癌患者のキメラモデルを作成する。その後、キメラを1年目に最も有効と判定されたCCL1 antisense ODNで処理し、M1Mφの出現と共に癌の増退縮を検討し、この治療方法の有効性を判定する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が当初予定より順調であるため、当該年度の経費が少なめで結果を導くことができた。 しかし次年度の実験計画にあるマウスのコストが予定よりも高いことが判明したため、その余剰分を翌年度分に加えて使用を計画している。
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次年度使用額の使用計画 |
20人の進行期肝細胞癌患者末梢血からM2b単球を分離し、効果的な免疫細胞を持たない好中球除去NSGマウスの尾静脈へ移入し、さらに肝癌細胞(Hep G2細胞)もしくは同患者由来肝腫瘍細胞を右側腹部皮下に移植し、肝細胞癌患者のキメラモデルを作成する。その後、キメラを1年目に最も有効と判定されたCCL1 antisense ODNで処理し、M1Mφの出現と共に癌の増退縮を検討し、この治療方法の有効性を判定する方針である。当初は同患者由来肝腫瘍細胞による実験のみであったが、肝癌細胞(Hep G2細胞)による実験の計画を追加した。
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