研究課題
HCV感染時の免疫応答に重要な役割を果たすHLA-DQとIFNL4あるいはIL28Bとの相互作用を示唆する結果を得るとともに、後者とインターフェロン誘導遺伝子の一つであるOAS1近傍の遺伝子多型とが独立してOAS1遺伝子発現量を調節していることを明らかにしてきた。最終年度には、HCVジェノタイプ1感染者3,500例を追加で解析し、やはりHLA-DQとIFNL4の遺伝子多型の相互作用の可能性を示唆する結果を確認することができた。対して、ジェノタイプ2感染者1,600例の検討では、相互作用を示唆する結果は確認されず、両遺伝子多型の相互作用はHCVジェノタイプによって異なるものと考えられた。直接作用型抗ウイルス薬(DAA)におけるIFNL4多型の意義を検討して、薬剤耐性変異ウイルスとの相関関係を見出していたが、その情報を参照することでDAA治療がより有効に施行可能であることを明らかにした。新規HBVレセプターNTCPの機能的アミノ酸変異S267Fについて解析を行った結果、日本人におけるアレル頻度は1%前後と低く、HBV感染成立や病態進展における重要性を示唆する結果は得られなかった。最終年度には、RIG-Iについて発現量調節性SNPについて解析を行った結果、HBV感染との関連を認め、RIG-IがRNAウイルスであるHCVのみならず、DNAウイルスであるHBVに対してもセンサーとして機能する可能性を支持する結果を得ることができた。HCV感染成立においてmiR-122の重要性が知られているが、HBV感染において血清中miRNAと相互作用するSNPも検索した結果、有望なものを同定することはできなかった。上述のように、ウイルスセンシング機構を中心に遺伝的多様性とウイルス側因子や他の環境要因との間の相互作用に注目した遺伝学的解析を行い、複数の興味深い結果を得ることができた。
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