研究課題/領域番号 |
26860539
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
尾崎 公美 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00714651)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝硬変 / 肝炎ウイルス / アルコール性肝硬変 |
研究実績の概要 |
2002年10月から2009年12月までの間に非アルコール性脂肪肝炎(以下、NASH)と組織学的に確定診断された症例をBruntの分類に基づきStage1-4の4つに分類した。Stage1-3に関しては、CT横断像での形態は軽微な辺縁鈍化が認められるもの正常肝と大きな変化がなく、全肝容量、各区域容量も有意差を認めなかった。病理学的にも肝硬変といえるStage4 66例ではCTで明らかな形態的変化が認められた。そこでNASH由来肝硬変66例をChild-Pugh分類に基づきClass A、B、C群に分類し、全肝容量、各門脈区域容量を計測し、客観的な形態変化の検討を施行した。 全肝容量は、NASH Child-Pugh Class A群ではウイルス性肝硬変との間には有意差は認めないが、アルコール性肝硬変と比較すると有意に小さめであった。外側区及び尾状葉腫大、内側及び前区域萎縮という肝硬変による変形の傾向はウイルス性ならびにアルコール肝硬変と同様であった。NASH由来肝硬変も、これら肝硬変と同様に不均衡な変形を呈することが示唆された。各門脈区域容量に関しては、NASH由来肝硬変では外側区腫大、内側及び前区域萎縮は他2原因より目立たず、尾状葉腫大はアルコール性と同様にウイルス性肝硬変よりも有意に大きいといった結果になった。これらの原因間での差異に関しては肝硬変がClass A、B、C群と進行するにしたがって、縮小するという結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備検討である程度の結果が出ていたため、それに追加する形で研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で明らかになった原因間の形態学的差異は、肝硬変における組織学的な差異、つまりは線維化領域の差異や再生結節のサイズ等に基づいていると考えられる。よって、これらが肝臓全体の形態変化に与える影響に関して検討予定である。 更には形態変化には血流が大きく関与していると考えられ、門脈血流及び動脈血流、流出系である静脈血流の関与に関して検討予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に未使用額が存在するが、データの収集および解析に時間を費やし、学会報告等が先伸ばしになったのと、想定していたよりも効率的な予算執行により未使用額が発生したものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はデータ記憶装置の購入、統計解析ソフトの購入、成果発表、外国語論文の校閲及び投稿、統計データ校閲等の使用を予定している。
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