研究課題
日本人の死因において心疾患が増加しており、22%を急性心筋梗塞が占める。急性心筋梗塞を発症すると、閉塞した責任冠動脈の灌流域に存在する心筋組織は、酸素・エネルギー源の枯渇によりやがて壊死を来す。梗塞組織において、マクロファージはアポトーシス・ネクローシスを来した細胞の貪食を行うが、マクロファージによるアポトーシス細胞の貪食が、梗塞サイズの減少とリモデリング抑制に関与していることが示唆されている(Circ Res 2013;113:1004-1012)。転写因子MafBは単球・マクロファージの分化に重要な役割を果たす転写因子である。我々は以前、マクロファージ特異的優性阻害DN-MafB遺伝子改変マウスを作成し、MafBの抑制がマクロファージのアポトーシス・貪食能に影響を与えることを報告した。これらマクロファージの性状変化は、心筋梗塞後の修復過程にも影響を及ぼす可能性がある。DN-MafBマウスに心筋梗塞を作成し、梗塞サイズとその後のリモデリングの程度を心エコー・組織学的評価により比較検討している。また、それに伴う慢性期の心機能と生命予後が変化するのかを検討している。さらに、心筋細胞と梗塞巣に浸潤したマクロファージのアポトーシスを解析している。DN-MafBマウスより採取したマクロファージと、shRNAを用いたMafB恒常的発現抑制マクロファージRAW264.7細胞を用いて、マクロファージの極性・アポトーシス・貪食能・サイトカイン発現に関して検討している。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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