引き続き内皮特異的STIM1欠損マウスを用いて血管内皮機能、血圧に関して検討を行った。<生体での検討>内皮特異的STIM1欠損マウスに対してtelemetry法を用いた血圧測定を追加して行った。10~13週令のマウスにおいてKOマウスでは活動期血圧および非活動期の拡張期血圧に限定した上昇を認めた。さらに一部のマウスについて8%食塩食投与を行った。個体数が十分でないが、食塩感受性を呈さなかった。<大動脈リング標本による検討>内皮依存性弛緩反応について検討を行った。プロスタグランディンの影響を排除するためインドメタシン投与下での検討を行ったが、やはりKOマウスでは有意に弛緩反応が減弱していた。<ウシ胎児由来初代培養大動脈血管内皮細胞を用いた検討>KOマウスの出生数が充分でないためウシ大動脈血管内皮細胞を用いて検討を行った。siRNAによるノックダウンした細胞ではNO指示細胞であるPICcellを用いた検討でNO産生においてストア依存性カルシウム流入によるNO産生が著明に抑制されていた。一方、ストアからの放出によるカルシウム上昇によるNO産生はコントロール投与群と同等であった。<障害刺激に対する反応>TNFα刺激によるLOX-1誘導はSTIM1ノックダウンによって抑制された。細胞内Caキレート剤BAPTA投与下でも同様の反応がみられた。NFκB活性をLuciferase assayによって検討し、STIM1ノックダウン細胞で抑制されていることを見出した。しかし、EMSAによる検討ではNFκBの結合抑制は見いだせなかった。<単離大動脈内皮細胞による検討>KOマウスから単離培養した大動脈内皮細胞を用いて検討を行った。PICcell で評価したストア依存性カルシウム流入によるNO産生はKO由来細胞で有意に抑制された。ストアからの放出によるNO産生は抑制されなかった。
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