研究課題
心不全は高血圧等を基礎疾患とし、末梢に必要な血液を送り出すことが不可能となった臨床症候群である。本研究は、タンパク質をコードしないRNA(non-coding RNA) に着目し、心不全発症の分子生物学的機構の解明を行う研究であった。肥満や2型糖尿病は心肥大や心不全発症を増加させるが、本研究では心筋細胞特異的なnon-coding RNA欠損マウスを用いて、non-coding RNAの一種であるmiR-451が、肥満や2型糖尿病によって引き起こされる心肥大の増悪因子であることを解明した。具体的には、マウスに高脂肪食を20週間投与し、肥満と2型糖尿病を誘導したところ、心臓において、普通食を摂食させたマウスと比較し、miR-451が有意に上昇することを見いだした。心筋細胞特異的miR-451欠損マウスでは、高脂肪食によって誘導される心肥大と心収縮予備能の低下は、コントロールマウスと比較し、有意に改善していた。これらの結果はCirculation Researchに報告させていただいた(Kuwabara Y, et al. Circ. Res. 2015:116:279-88)。また、心不全によって誘導される長鎖non-coding RNAの機能解析も並行して行った。着目した一つの長鎖non-coding RNAは、心肥大で有意に上昇し、マウスの新生仔心筋細胞に過剰発現することにより、心筋細胞肥大が誘導された。また、このlincRNAは心臓と骨格筋に特異的に発現していたため、今後、心臓と骨格筋における働きを解明して行く予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/metabolic/