研究課題/領域番号 |
26860557
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田浦 大輔 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10558612)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血管細胞誘導 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
当研究課題において、H26年度には、研究実施計画に沿って、まずはヒトES/iPS細胞からの血管構成細胞分化誘導技術の改良に取り組んだ。これまで血管細胞分化誘導の第一段階は、ヒトES/iPS細胞の未分化コロニーを適当なサイズに分割し、培養dishに接着させることであった。ヒトES/iPS細胞は未分化状態では single cellにすると生存率が大きく下がるためであるが、このstep、手技の再現性が乏しく、各セルライン、実験による血管誘導効率の差異に繋がると考えられた。このため、Rho/ROCK inhibitorを誘導初期に併用することで、未分化ES/iPS細胞をsingle cellにまで分離してから血管細胞誘導を開始できないかを検討した。結果、Rho/ROCK inhibitorを最初の24時間のみ添加することで、single cell状態でも未分化ES/iPS細胞がdishに接着し、血管細胞誘導が可能であった。これにより血管細胞誘導に最適な初期細胞densityを検討することも可能となり、高い細胞密度では未分化細胞の残存率が上昇することが判明した。さらに、single cellから誘導をはじめる分散培養法を導入することで、セルラインや各実験runによる血管内皮細胞誘導効率の差異が減少し、より安定した誘導系を確立できたと考える。次に、sortしたFlk1陽性細胞からのpericyteおよび血管平滑筋細胞分化誘導に関しての検討を行った。具体的には、pericyte markerと血管平滑筋細胞マーカーを区別し、その発現を経時的に検討するとともに、VEGFやTGFβ1といった各種液性因子がどのような影響を与えるかを検討した。検討の結果、誘導中期にのみTGFβ1を添加することで、血管平滑筋細胞への分化誘導が促進されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に沿い、初年度にあたる当該年度では、研究の基礎となる血管細胞誘導技術自体の改良に主に取り組んだ。結果、これまでヒトES/iPS細胞からの血管構成細胞分化誘導において問題となっていた、セルラインによる誘導効率の差を減少することに成功出来たとともに、fik1陽性VE-cadherin陰性細胞からの血管平滑筋細胞分化誘導技術に関してもある程度の進展が得られた。先天的な遺伝子異常によって血管に異常をきたす疾患患者から樹立した疾患特異的iPS細胞を用いた研究に関しても、継続して進展できている。
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今後の研究の推進方策 |
pericyteと血管平滑筋細胞を分離して誘導するには更なる検討が必要である。今後は、改良できたヒトES/iPS細胞からの血管分化誘導技術を用いて 1) 血管関連疾患特異的iPS細胞を用いた研究 2) 我々の血管細胞分化誘導法において各種心血管ホルモンが血管細胞分化に影響しているかを検討する を中心に研究を進める予定である。 1)では、具体的には現在進行中である、高安病の母娘からそれぞれ樹立したiPS細胞を用いた高安病研究、さらに遺伝的素因が関係していると考えられる若年発症重症冠攣縮性狭心症患者から樹立したiPS細胞を用いた血管spasm研究をさらに推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に基づき研究を実施したが、算定した細胞培養規模よりも若干小規模での細胞培養でも血管細胞分化誘導技術開発は十分に施行することが出来た。このため、若干ではあるが、当初の消耗品として見積もった額より小額で研究を遂行できた。
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次年度使用額の使用計画 |
結果として生じた小額の次年度使用額として持ち越された分は、今後、疾患特異的iPS細胞を用いた血管細胞分化誘導研究を続けるための消耗品購入に当てる予定である。
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