研究課題/領域番号 |
26860561
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉山 洋樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (20726137)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抗SSA抗体 / KCNH2 / 自己免疫性QT延長症候群 |
研究実績の概要 |
1)KCNH2(HERG)電流調節因子の検索: 国立循環器病研究センター 周産期・婦人科における抗SSA抗体陽性妊娠症例を対象とし、出産後に母体血および臍帯血を採取する。HEK293細胞にKCNH2遺伝子をtransfectionすることで細胞膜上にチャネルを発現させたうえで、患者血清とともに培養した後にパッチクランプ法を用いてKCNH2(HERG)チャネル機能を評価する。 2)KCNH2(HERG)電流調節因子の分離・同定: KCNH2チャネルに作用する血中因子を同定するため、tag付きHERGを作成し、免疫沈降でHERG結合蛋白を回収し、最終的にMALDI-TOF MS解析にて同定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗SSA抗体陽性患者循環血液中のKCNH2(HERG)電流調節因子を検索するため、国立循環器病研究センター 周産期・婦人科における抗SSA抗体陽性妊娠症例を対象とし、出産時に採取した母体血および臍帯血を用いる。採血については国立循環器病研究センター 周産期・婦人科の三好剛一先生による患者説明および同意の承諾を得る(国立循環器病研究センターにおける倫理委員会の承認は得ている)。まず、HEK293細胞に対してpcDNA3-HERGをtransfectionで導入する。発現を確認した後、抗SSA抗体陽性妊婦および臍帯血を用いて10%血清入りの細胞培養液とともにHEK293細胞をovernightで培養する。Single cell に対し、conventional whole cell によるパッチクランプ法(Voltage clamp)を用いてKCNH2(HERG)チャネル機能を解析し、患者血清中の因子がKCNH2(HERG)チャネル機能を変化させ得るか評価する。
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今後の研究の推進方策 |
a)pcDNA3.1-V5-His (invtrogen) にpcDNA3-HERG由来のHERGをサブクローニングで組み込み、pcDNA3.1-HERG-V5-Hisを作成する。b)pcDNA3.1-HERG-V5-HisをHEK293にtransfectionで導入し、HERG-V5を産生するCHAPSを使用しHERG-V5を可溶化する。V5 tagged protein purification kit (MBL)を使用し、HERG-V5-beads複合体を形成させる。この時点で、beadsをPBSで洗浄しHERG-V5以外のタンパクを除去する。c)前述のHERG-V5-beads複合体に抗SSA抗体陽性妊娠症例の血液(母体血、臍帯血)を加え十分混和する。その後beadsを洗浄することでHERG-V5に結合したタンパク以外を除去する。この時点でV5 tagged protein purification kit (MBL)内のV5タンパクを使用しHERG結合タンパクおよびHERG-V5タンパクを回収する。d)回収したHERG結合タンパクをSDS-PAGEで電気泳動し、銀染色もしくはCBB染色で泳動したタンパクを可視化する。コントロール(抗SSA抗体陰性例)と比較し差が認められるバンドに目的とするHERG結合タンパクが存在することとなる。e)HERG結合タンパクを含むバンドを切り出し、トリプシンで消化ののちMALDI-TOF MS解析を行い、HERG結合タンパクを同定する。f)同定された因子がHEK293細胞に発現させたKCNH2(HERG)チャネル機能を変化させるかパッチクランプにて再確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた研究打ち合わせを実施する機会がなく、旅費の使用がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は消耗品費(実験消耗品 電極・回路等)として使用予定である。
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