抗SSA抗体陽性妊娠における循環血液中KCNH2電流抑制因子の検索について、岡山大学循環器内科准教授 中村一文および、客員研究員 杉山洋樹および、国立循環器病研究センター 周産期科 三好 剛一先生を中心に研究を進めた。 国立循環器病研究センター 周産期科・婦人科において入院となった抗SSA抗体陽性妊娠症例に対し、患者説明・同意が得られた患者より母体血清・胎児臍帯血を分注・冷凍の上岡山大学循環器内科へ郵送、岡山大学にて-70℃で保存。使用時に解凍し、HERG発現HEK293細胞を10%血清入りの細胞培養液で培養を行った後に、パッチクランプ法(Voltage clamp)を用い、東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学の技術支援を受けてKCNH2(HERG)チャネル機能を解析、チャネル機能の評価を行った。現時点での解析対象症例数は6例で、全例において母体血清および胎児臍帯血共に得られている。血清をtail currentの電流量および電位依存性の評価を施行。正常controlとの対比を行い、チャネル機能を変化(主にtotalでのチャネル機能の低下)させ得る因子の存在を疑う症例の同定を試みた。電流調節因子の同定・分離の対象となりうる症例に対してはtag付きHERGを用いた免疫沈降でHERG結合蛋白を抽出・解析し、チャネル結合蛋白が存在するバンドの同定を行った後に再度パッチクランプにてチャネル機能変化について再解析を行っている。
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