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2014 年度 実施状況報告書

血管老化におけるレニン・アンジオテンシン系とmicroRNAの関連についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 26860567
研究機関愛媛大学

研究代表者

閔 莉娟  愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (80726175)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード動脈硬化 / 血管老化 / レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 / microRNA-21 / Ras/MAPK シグナル / 血管平滑筋細胞
研究実績の概要

[目的] 近年、動脈硬化などの血管病には細胞老化が深く関与することが示唆されている。これまでに私たちは、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)が血管の老化に影響を与え、血管病の発症や進展に深く関与することを報告してきた。最近、microRNAは動脈硬化などの心血管疾患に深く関与していることが示唆される。microRNA-21がSpry1(Ras/MEK/ERKシグナルの抑制遺伝子)を抑制することにより、MAPK シグナルを活性化し、心臓の線維化細胞の増殖を促進することを報告した。さらに、microRNA-21、microRNA-10AがHmga2を抑制することにより、血管内皮前駆細胞の老化を促進することが示唆されている。我々もRas/MAPK シグナルが血管老化に与える影響を報告していることから、本研究ではmicroRNAとRAASの血管老化への関連について検討する。
[方法] C57BL/6Jマウスの胸部大動脈からVSMCを調整し、angiotensin IIで連日刺激し、老化関連βガラクトシダーゼ染色により細胞老化を評価した。Angiotensin II が誘導した老化VSMCからtotal RNA を抽出して、老化に関連しそうなmicroRNA-21、microRNA-212などの発現をRT-qPCR法で測定した。
[結果] VSMCにおいてangiotensin II(10-7 M)で10日間連日刺激により時間依存性に老化細胞数やその割合が増強した。このangiotensin IIから誘導されたVSMCにおいて、タンパク質をコードしないというRNA中のmicroRNA-212の発現はangiotensin IIの刺激により増加することが認められなかった。しかし、microRNA-21の発現はangiotensin IIの連日刺激により時間依存性に増加した。
[結論] 以上よりmicroRNA-21がターゲット分子の発現を抑制することにより、angiotensin II 刺激したVSMCの老化に深く関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

血管平滑筋細胞からmicroRNAの抽出は不順調だった。方法はキット中の説明書に沿ってやっていた。抗マウスArgonaute2モノクローナル抗体を利用した免疫沈降法によりmicroRNA-Argonaute2複合体を回収し、Argonaute2に取り込まれたmicroRNAを取り出した。しかし、何回もやっでも、最後に得られたmicroRNAのpelletは非常に小さかった。実際にmicroRNAが取れたかどうかが不明だった。また、溶解後のRNA溶液に含まれるmicroRNA量の測定には、分光光度計(A260/A280)やバイオアナライザー(Agilent社)では測定できないということが言われている。microRNA量の測定には、Urea-PAGE後の核酸銀染色によって推定することが推奨されている。実際に、本研究室には核酸銀染色という実験技術が弱いので、microRNA量の測定は困難であった。以上技術の問題があるので、結局total RNAを取ってきて、microRNA-21とmicroRNA-212の発現をMystiCq microRNA cDNA Synthesis Mix Kitで測定し、in vitro実験の進展は遅くなってしまった。

今後の研究の推進方策

これから、in vitro実験については、血管平滑筋細胞からtotal RNAを抽出して、以下のようにさらにmicroRNA-21に焦点を当てた検討が進める:1)血管平滑筋細胞における、RAASの阻害剤(ARB)がmicroRNA-21の発現を抑制する可能性を検討する。2)microRNA-21のターゲット遺伝子Spry1の抑制の検討。3)microRNA-21がangiotensin IIが誘導した血管平滑筋細胞の老化に関与するメカニズムの検討。

さらに、in vivo実験を行い、細胞の結果を証明する検討も進める:1)老化血管モデルマウスの作製: 10 Gy のX線をC57BL/6マウスに全身照射する。または、C57BL/6マウスの大腿動脈にポリエチレンチューブをカフとして2週間巻き付けることによって内膜肥厚を起こす血管傷害モデルを作成する。2)血管microRNA-21の発現の量の測定:RAASの阻害剤(ARB)がmicroRNA-21の発現を抑制する可能性も検討する。3)microRNA-21-siRNAをマウスにトランスフェクションして、血管の老化に関与するかの証明。4)microRNA-21-ノックアウトマウスの作成も考慮する。通常のC57BL/6マウスと比較して、以上の方法にて血管の老化が抑制されるのか、microRNA-21やターゲット遺伝子Spry1の発現や作用がどのように変化しているかについて検討する。

以上の実験結果をまとめて、学会発表ならびに論文報告する。

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公開日: 2016-06-01  

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