研究課題
我々は血管平滑筋細胞の老化において、Ras/ERKシグナルパスウェイに関与するmicroRNA-21およびそのターゲット遺伝子であるSpry1などが、アンジオテンシンII (angiotensin II) が誘導した血管老化に関係する可能性について検討してきた。In vitro 実験、C57BL/6Jマウスの胸部大動脈から血管平滑筋細胞を用いて、細胞老化を検討したところ、angiotensin II(10-7 M)で10日間連日刺激により時間依存性に老化細胞数やその割合が増強したことが認められた。angiotensin II(10-7 M)で10日間連日刺激した血管平滑筋細胞のmicroRNA発現量を調べたところ、microRNA-21の発現はangiotensin II刺激により時間依存性に増加したことが認められた。microRNA-21のターゲット遺伝子Spry1の抑制を検討したところ、Western blotting法でangiotensin II 10日間の連日刺激によりSpry1発現の変化は認められなかった。microRNA-21が血管平滑筋細胞の老化に関与するかを検討したところ、microRNA-21-siRNAトランスフェクションした細胞において、コントロール細胞に比較してangiotensin II刺激により老化細胞数は変化してなかった。In vivo実験、10 Gy のX線をC57BL/6マウスに全身照射し、胸部大動脈血管の老化を誘導したが、血管microRNA-21の発現の増加が認められなかった。以上より、In vitro、microRNA-21がターゲット分子の発現を抑制することにより、angiotensin II 刺激したVSMCの老化に関与していることが考えられたが、今回In vivoで同様な結果が得られなかった。将来、別の老化血管モデルマウスを用いて、さらにmicroRNA-21と血管老化の関係を検討する必要があると考えられる。今回microRNA-21のターゲット遺伝子Spry1の関与は認められなかったので、将来、別のターゲット遺伝子例えばSp-1の役割について調べる必要があると考えられる。
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Am J Hypertens
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