研究課題
1)動脈圧反射による血圧制御システムの動的特性の検証動脈圧反射の特性を評価するために動脈圧受容器が存在する頚動脈洞を体循環から分離し、その内圧をサーボポンプを用いて制御する「頚動脈洞分離法」を確立した。頸動脈洞内圧を変化させながら、心臓特性である左室収縮性及び心拍数、血管特性である末梢血管抵抗および負荷血液量を同時に計測した。頸動脈洞内圧から各特性への動的特性を評価し、動脈圧反射のシミュレーションへ組み込むことにより、動脈圧反射は主に血管特性である負荷血液量と末梢血管抵抗の変化が主に血圧制御に寄与していることを見出した。この知見を査読付き英文誌に報告した。2)容量負荷に対する動脈圧反射の容量緩衝効果の検証上記の頸動脈分離法を用いて頸動脈洞内圧を一定にすることにより動脈圧反射不全を模擬した。体血圧と頸動脈洞内圧を一致させる正常動脈圧反射モデルと比較して動脈圧反射不全モデルでは少量の輸液負荷により左房圧が急激に上昇することがわかった。また動脈圧反射不全モデルでは輸液負荷に対して負荷血液量の増加を緩衝できないことが急激な左房圧上昇をきたす主な機序であることがわかった。3)頻拍誘発性心不全犬の確立過去の報告にならい、右室心尖部に頸静脈的にペースメーカーリードを挿入し、200ppmで約2か月間ペーシングすることにより頻拍誘発性心不全犬を作成した。経胸壁心エコーにより左室駆出率が約80%から20%まで低下していることを確認した。今後この頻拍誘発性心不全犬での動脈圧反射の意義について検討予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度の研究計画に従って動脈圧反射の動的特性、動脈圧反射による容量緩衝効果、頻拍誘発性心不全犬モデルの確立を行った。
平成27年度の研究計画に従って、頻拍誘発性心不全犬を用いて静脈還流平面の同定、動脈圧反射による血行動態への影響、心不全治療への応用の可能性の探索を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
Am J Physiol Heart Circ Physiol.
巻: 308 ページ: H49-H58
10.1152/ajpheart.00552.2014.
Physiol Rep.
巻: 2 ページ: e12136
10.14814/phy2.12136.