研究課題/領域番号 |
26860575
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
荒木 智 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20706717)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | Sirt7 |
研究実績の概要 |
Sirtuin familyはヒストンや蛋白を脱アセチル化し、老化や代謝、さらには血管新生、炎症などの様々な生体反応の制御に関与している。その中でもSirt7 は核や細胞質、核小体に存在しており、癌の進展や、ヒストンの脱アセチル化を介したがん抑制遺伝子の転写制御への関与が報告されている。ただし癌の進展には血管新生や上皮間葉転換など多彩な側面があるが、それらにおけるSirt7 の役割は不明である。本研究の目的はSirt7 による血管新生、線維化および癌の上皮間葉転換の制御機構を解明することである。 癌の転移や上皮間葉転換、線維化にはTGFβシグナルが重要であり、平成26年度はSirt7 の欠如によるTGFβシグナルへの影響を検討した。ラット心筋細胞、心臓線維芽細胞、内皮細胞、乳がん細胞であるMCF7を用いた検討では、Sirt7の欠如によりTGFβ受容体の減少を認め、下流の代表的なシグナルであるsmad2/3およびMAPKのリン酸化も減少した。またPAI-Iやα-SMAなどの遺伝子の発現も抑制されており、これらの所見はSirt7がTGFβ受容体の制御を介して、線維化や上皮間葉転換に関与することが示唆された。 現在、Sirt7 ノックアウトマウスの肝臓を用いたマイクロアレイの検討より、TGFβ受容体の制御に関与する遺伝子のスクリーニングを行っており、詳細なメカニズムの解明を継続する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sirt7がTGFβ受容体の制御に関与することが見出しており、今後詳細な検討を行っていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、Sirt7 ノックアウトマウスの肝臓を用いたマイクロアレイの検討より、TGFβ受容体の制御に関与する遺伝子のスクリーニングを行っており、詳細なメカニズムの解明を継続する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費が予定していた金額よりも安くなり、試薬の購入が費用も少なく済んだため
|
次年度使用額の使用計画 |
マイクロアレイで見出したSirt7のtarget遺伝子のPCRおよびウエスタンブロット用抗体の購入する予定である
|