研究課題
マウスワイヤー傷害モデルにおける新生内膜の免疫組織化学的染色による検討では小胞体ストレス応答マーカーであるGRP94、PDI、リン酸化IRE1α、リン酸化eIF2αの発現を認め、新生内膜に小胞体ストレスが生じていると考えられた。小胞体ストレスを軽減する薬剤である4-phenylbtirate(4-PBA)とtauroursodeoxicholic acid (TUDCA)の投与は新生内膜形成を抑制し、小胞体ストレスが新生内膜形成に促進的に作用している可能性が考えられた。さらに新生内膜部の血管内皮細胞に脂肪酸結合タンパク4の発現を確認し、小胞体ストレス軽減とともに発現の減少が認められた。詳細な機序の検討のためヒト冠動脈平滑筋細胞(hCASMC)を用いて分子生物学的な検討を行った。血小板由来増殖因子(PDGF)-BBによる増殖/遊走は小胞体ストレス応答のマーカーであるGRP94, Grp78, Pdi, spliced Xbp1の発現増加を伴ない、4-PBA、TUDCAはこれらの発現を有意に抑制した。これと共にERKのリン酸化の抑制と、MTS法、Scratch wound 法で評価したhCASMCの増殖/遊走の有意な抑制が見られたことから、小胞体ストレスを軽減することがhCASMCのPDGFによる増殖/遊走を抑制すると考えられた。また、小胞体ストレスに対する代償機構の主要分子の一つであるXBP1の減少が新生内膜形成やhCASMCの増殖/遊走に与える影響を評価した。Xbp1へテロ欠損マウスにおけるワイヤー傷害モデルにおいては新生内膜形成は有意に増加し、hCASMCにおいてXbp1をノックダウンすることで、PDGF-BBによる増殖/遊走を有意に促進した。また、hCASMCにおけるXbp1のノックダウンはPdgfra, Pdgfrb, Il1b, Il6の発現を有意に増加がみられた。これらのことより小胞体ストレスの血管平滑筋細胞の増殖/遊走、ワイヤー傷害モデルでの新生内膜形成への影響は炎症やPDGF受容体の発現を介したものである可能性が考えられた。
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