研究課題/領域番号 |
26860579
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中西 直彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10637911)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / カベオラ / カベオリン |
研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症 (PAH) 患者において細胞膜カベオラ構成タンパクであるCaveolin-1の遺伝子変異が報告され、遺伝性PAHの原因遺伝子の一つとして位置付けられた。Caveolinとともにカベオラを構成しているCavinファミリーもカベオラ構造に必須のタンパクであり、我々はCavin-4/MURCが肺高血圧症の発症・発展に重要な役割を果たしていることを報告している(論文投稿中)。またCavin-1/PTRFのノックアウトマウスで肺高血圧症が起こることが報告された (Sward et al. Physiol Rep 2013)。CavinファミリーとCaveolinファミリーは複合体を形成しているので、我々はCavin-2/SDPRの肺高血圧症発症における役割を検討した。 Cre-loxPシステムを用いて、我々はCavin-2/SDPR全身ノックアウトマウスを作製した。このCavin-2/SDPRノックアウトマウスを用いて低酸素負荷肺高血圧症モデルを作成した。10%酸素4週間の負荷後に右室圧の測定を行い、Cavin-2/SDPRノックアウトマウスではwild typeマウスを比較して右室収縮期圧の上昇および右室肥大が認められることを明らかにした。wild typeマウスで低酸素負荷肺高血圧症モデルを作成すると肺におけるCavin-2/SDPRとCaveolin-3のmRNA発現が増加していたが、Cavin-2/SDPRノックアウトマウスでは低酸素負荷によるCaveolin-3のmRNA発現増加が抑制されている傾向を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Cavin-2/SDPRの全身ノックアウトマウスでは低酸素負荷による肺高血圧症増悪が認められることを明らかにしたが、その機序に関してはまだ十分に解明できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、CRISPR/CAS9システムを利用しヒト肺動脈内皮細胞とヒト肺動脈平滑筋細胞でCavin-2/SDPRをノックアウトした細胞を作成しており、これらの細胞を用いてNOSやMAPKの活性を検討し、Cavin-2/SDPRによる肺高血圧症発症・進展の分子機構を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトマウスの作成にかかる費用が軽減されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在CRISPR/Cas9を入れたLenti virusを作成しており、それの作成と細胞実験における費用に使用する。また今後、平滑筋特異的ノックアウトマウスや内皮特異的ノックアウトマウスを作成予定であり、その費用に使用する。
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