1)反射性失神における外傷について検討した。 背景:反射性失神は、若年者から高齢者まで幅広く臨床で遭遇する頻度の高い失神の原因である。大部分は予後良好とされるが、失神を反復することをしばしば経験する。また、外傷や事故の原因となりうる疾患であり、その予防は重要である。 目的:本研究の目的は外傷を伴う反射性失神患者における、失神歴との関連性を検討することである。 方法:心原性失神や神経原性失神などが否定された患者のうち、問診とヘッドアップチルト試験などで反射性失神と診断され1回以上外傷を伴った連続33例(男性/女性:24人 / 9人、年齢 52±22歳)を対象とした。失神回数1回、2-5回、6回以上で分類し、患者背景および検査結果と外傷の有無の関連性について検討した。 結果:外傷を伴う失神は男性(24例)に多く、また20歳代(7例)と60歳代(8例)に2峰性のピークを認めた。失神回数は1回14例、2~5回17例、6回以上2例であったが、2回以上反復した失神歴を有する症例は19例(58%)であった。16例(48%)は同様の状況下で失神を繰り返していた。HUTTで誘発された反射性失神の病型に偏りは認められなかった。 結語:外傷を伴う失神は、同様の状況下で繰り返し失神を起こしていることが明らかになった。外傷や事故の原因となる危険性があるため、失神をきたすような状況を避ける生活指導により、反復する失神の改善が期待できる。 2)失神における自動車事故について検討を行った。 失神を主訴に来院した患者の前向き登録を行った。登録症例について背景、診断根拠、治療及びその効果について順次評価を行った。症例登録については、当初の予定通り登録が可能であり、再発イベントの評価を行っているものの、イベント発生についての経過観察で、予測より少数であった。自動車事故に関する検討には継続的な調査が必要であった。
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