研究実績の概要 |
本年度は(1)Hic-5欠損マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5-/-)が完成し、さらに(2)表現型の解析に着手した。 (1)Hic-5欠損マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5-/-)の作製 マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+)とHic-5欠損マウスを交配することで、Hic-5欠損マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5-/-)を得た。 (2)マルファン症候群マウスにおける胸部大動脈瘤形成の検討 52週齢のマルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5+/+)及びHic-5欠損したマルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5-/-)の胸部大動脈瘤を比較したところ、Hic-5欠損により胸部大動脈瘤(大動脈基部、上行弓部)の顕著な拡張が認められた。組織学的に解析したところ、マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5+/+)と比べてHic-5欠損マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5-/-)では顕著な弾性線維の破壊が観察された。しかし病変組織へ浸潤してきた炎症細胞の数に変化は見られなかった。興味深いことに、表現型と真逆でHic-5欠損により弾性線維を破壊するMMP2発現が抑制されていた。この結果は過去に報告(Lei XF et al.J Am Heart Assoc.2014) した結果と一致している。その一方で、組織修復に関わっているコラーゲンの産生がHic-5欠損マルファン症候群マウス(Fbn1(C1039G/+), Hic-5-/-)で明らかに減少していることを見出した 。
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