腹部大動脈瘤の病態生理を、大動脈内鉄代謝の観点より検討した。ヒトおよびマウス大動脈組織を検討したところ、AAA組織では鉄含有量の増加および鉄沈着の亢進を認めた。そこで、AAAモデルマウスに対し食事性鉄制限を行ったところ、鉄制限によりAAA発生率が有意に低下することを見出した。一方で、大動脈鉄沈着の分子機構として細胞内鉄取り込み受容体であるトランスフェリンレセプター1を検討したところ、AAA組織での発現亢進を認めた。これらの結果より、TfR1を介した大動脈内鉄代謝は、AAAに対する新規治療標的になることが示唆された。
|