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2014 年度 実施状況報告書

新規HDL自己形成型蛍光ペプチドの開発と早期動脈硬化バイオマーカーの確立

研究課題

研究課題/領域番号 26860592
研究機関福岡大学

研究代表者

川内 絵未  福岡大学, 医学部, 助教 (50714416)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードペプチド / アポA-1 / 動脈硬化 / HDL
研究実績の概要

現在、心臓・血管疾患の一次予防および二次予防における治療の原則は、スタチンによる低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下療法である。これまでの多くの大規模臨床試験の結果から、LDL-C低下療法は30~40%程度の血管イベント発症を抑制できるが、更なる予防としての次世代の脂質治療の1つである高比重リポ蛋白(HDL)をターゲットとする治療が注目されている。1999年ABCA1脂質膜輸送体が家族性HDL欠損症の原因遺伝子として同定され、これがHDLを新生し、また細胞内余剰コレステロールを排出していることが判明した。私たちはこれまでHDLの機能を増強させる合成HDLの開発を進め、ABCA1輸送体依存的に作用し、生体内にてHDLを自己形成する実用化に適した新規アポ蛋白A-I類似ペプチドの開発に成功した(FAMP=Fukuoka University ApoA-I Mimetic Peptide)。このペプチドは、ABCA1依存性コレステロール引抜き能を増加し、小粒子HDLの新生を増加させることによりHDLの機能活性を亢進しマウスにおける大動脈プラークを抑制することが明らかとなっている。この放射線標識された68Ga-DOTA-FAMPは、動脈硬化ウサギにおける大動脈プラークを描出・イメージング出来ることから、本ペプチドはプラーク局所に留まり抗動脈硬化作用を発揮している事が確認できている。そこで、本ペプチドの多種蛍光標識トレーサーを作製、開発することによって主に次の2点、1,そのターゲット分子、作用メカニズムの詳細を明らかとする。2,本ペプチドはHDL様分子特性をもつことから、プラークを形成する早期段階の動脈硬化においても相互作用することが推察される。そのため、この新規ペプチドを用いたヒト早期動脈硬化の血中バイオマーカーとしての有用性について明らにすることが本研究の主目的である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当施設に設置済みの全自動ペプチド固相合成装置を用いて既開発のiCEペプチド(FAMP)の合成を行った。脱保護の際、FITCの脱離を防ぐためN-末端にβ-Alaを追加したあとFITCを結合させたFITC-FAMPを大量合成し、Sephadex Gel25を用いて精製を行った。質量分析装置MALDI-TOF-MASSを用いて測定し、目的物を同定した。作製したFITC-FAMPを蛍光リガンドとして、A172細胞、RAW264細胞、COS-7細胞、CHO(ldlA7)細胞へインキュベーションしその局在を共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて検討した。また、血液中でのFAMPの局在分画を明らかにするため、native-PAGEを用いて検討した。
さらにin vivoについても検討した。C57BL6マウスを用いて、FITC-FAMPを静脈投与24時間後にsacrificeを行った。採血後、心臓、腎臓、大動脈、脾臓を摘出し、パラフィン包埋を行った。それぞれの切片を用いて蛍光同定、免疫組織二重染色にて各組織の標的細胞を同定した。

今後の研究の推進方策

FITC-FAMPを蛍光トレーサーとして免疫組織学的検討にて標的細胞を明らかとする。また、FITC-FAMPと各ABCA1, ABCG1, ABCG4, SR-BIの遺伝子導入細胞を用いて、それぞれの受容体・輸送体との相互作用を検討し、FITC-FAMPの標的分子まで明らかとする。FACSシステムにおいても、FITC-FAMPを用いて末梢血白血球の中で単球の他、どの細胞において相互作用をしているかを明らかとし、更に単球のなかでもどのような細胞表面マーカーを持つ細胞と作用するかを検討する。この事より動脈硬化のどのステージでFAMPが特異的にイメージングしているかが明らかとなる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Improved survival rate after myocardial infarction using an inducible cholesterol efflux (iCE) peptide: FAMP2014

    • 著者名/発表者名
      Eiji Yahiro, Yoshinari Uehara, Emi Kawachi, Setsuko Ando, Shin-ichiro Miura, Keijiro Saku
    • 雑誌名

      IJC Heart & Vessels

      巻: 4 ページ: 135-137

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impact of Cigarette Smoking Cessation on High-Density Lipoprotein Functionality -VN-SEESAW-HDL-2014

    • 著者名/発表者名
      Kohei Takata, Satoshi Imaizumi, Emi Kawachi, Yasunori Suematsu, Tomohiko Shimizu, Satomi Abe, Yoshino Matsuo, Hitomi Tsukahara, Keita Noda, Eiji Yahiro, Bo Zhang, Yoshinari Uehara, Shin-ichiro Miura, Keijiro Saku
    • 雑誌名

      Circulation Journal

      巻: 78 ページ: 2955-2962

    • 査読あり
  • [学会発表] A newly developed apoA-I mimetic peptide with a D-amino acid promotes HDL via ABCA1-mediated cholesterol efflux2014

    • 著者名/発表者名
      Emi Kawachi, Yoshinari Uehara, Eiji Yahiro, Satomi Abe, Setsuko Ando, Shin-Ichiro Miura, Keijiro Saku
    • 学会等名
      European Society of Cardiology
    • 発表場所
      スペイン
    • 年月日
      2014-08-28 – 2014-09-02
  • [学会発表] Effect of smoking cessation on HDL function2014

    • 著者名/発表者名
      Emi Kawachi, Satoshi Imaizumi, Kohei Takata, Satomi Abe, Yoshino Matsuo, Eiji Yahiro, Yoshinari Uehara, Bo Zhang, Shin-Ichiro Miura, Keijiro Saku
    • 学会等名
      European Society of Cardiology
    • 発表場所
      スペイン
    • 年月日
      2014-08-28 – 2014-09-02

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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