資金責任者らが半年間の長期ゲフィチニブ曝露によってEGFR遺伝子陽性肺癌細胞株PC9より作成したゲフィチニブ耐性細胞株PC9 GRを用いてメチル化及びmRNAの網羅的解析を行った。その結果、感受性株と比較して耐性株においてDNAメチル化が亢進し、mRNAの発現が低下しており、メチル化の変化がゲフィチニブの耐性化との関与が考えられる遺伝子を候補遺伝子(s100p、klotho、c10orf116、RASSF1A、IGFBP3、)として同定した。さらにその候補遺伝子の中から、IGFBP3、klotoho、s100pを中心に解析を行った。結果としてわずかではあるが、klothoやs100pが耐性化に関与していることが考えられ、siRNAを用いたknock downによって感受性株がわずかに耐性化することが示唆された。ひとつひとつのメチル化に伴う耐性化への影響は少ないものの、多数集まることで細胞株の耐性化に寄与している可能性が考えられた。同結果について今後論文投稿予定としている。資金責任者の海外留学に伴い本科研費に基づく研究に関しては一旦終了となった。klothoに関しては、同細胞株の主要耐性化機序として報告済みのFGF2-FGFR1活性化との関与も考えられ、関連性について評価を予定している。また、既に解析を終えているHCC827肺癌細胞株での同様な解析と照らし合わせてより普遍性の高い実験を行っていく予定としている。
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