研究課題/領域番号 |
26860617
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐々木 衛 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90573311)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 喫煙曝露 / 肺気腫 / マウス / 骨代謝 / 骨密度 |
研究実績の概要 |
・長期喫煙曝露による肺の気腫化をmicro CTや組織で確認し、経時的に骨吸収マーカー、骨形成マーカーを測定して、骨代謝の変化を明らかにした。 9~10週令C57BL/6雌マウスに10ヶ月間の喫煙曝露を行い、1、3、5ヶ月目における肺組織平均肺胞径(Lm)、Destructive Indexを測定した。胸部micro CT上のEnd-Expiratory Lung Volumeを指標として、喫煙による肺の経時的変化を確認した。期間中体重測定と、micro CTによる腹部皮下脂肪、内臓脂肪を計測した。骨形成マーカーとして血漿osteocalcin(OC)、骨吸収マーカーとして尿中deoxypyridinoline(DPD)を測定した。結果、マウス喫煙群において、3、5ヶ月目で平均肺胞径の拡大を認め、肺の気腫化を確認し、喫煙1ヶ月から体重と内臓脂肪量の減少を認めた。喫煙群の尿中DPD、血漿OCは1、3ヶ月目で低下し、5ヶ月目では共に上昇した。喫煙群は1、3、5ヶ月目でmicro CT上の骨密度増加、骨梁構造の複雑化を認めた。一方で、5ヶ月目の骨組織切片で破骨細胞数の増加を認めた。 ・上記マウスの1、3、5ヶ月における骨密度や骨梁構造をmicro CT撮影、組織学的評価を行い、骨構造の変化や破骨細胞、骨芽細胞の変化を明らかにした。 犠牲死後採取した腰椎椎体をmicro CTし、解析ソフトウェアを使用して腰椎骨密度、骨構造を計測した。腰椎固定検体を脱灰後、HE染色組織標本を用いて、破骨細胞数骨が細胞数を測定した。結果、喫煙群は1、3、5ヶ月目でmicro CT上の骨密度増加、骨梁構造の複雑化を認めた。一方で、5ヶ月目の骨組織切片で破骨細胞数の増加を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた以下の項目について評価することができた。 1.喫煙曝露マウスの肺気腫評価 喫煙曝露マウスの肺組織学的変化、micro CTを用いた経時的変化を評価ができた。 2.骨代謝、骨密度、骨組織評価 骨吸収マーカー骨形成マーカーを用いた骨代謝の変化を評価でき、骨密度、骨組織評価ともに確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
・破骨細胞、骨芽細胞のcell line、タバコ煙抽出液を用いて、in vitroでの喫煙の骨代謝に対する効果を確認する。 ・平成26年度の研究結果では骨粗鬆症変化としては不十分であるため、骨強度試験や骨質の評価を行い、喫煙による骨粗鬆症の病態を明らかにする。 ・上記が確認できれば、骨粗鬆症薬投与による効果を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費と併せて、消耗品購入に充てる予定である。
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