研究実績の概要 |
呼吸器疾患に伴う肺高血圧症(低酸素性肺高血圧症)は、未だ病態は不明な点が多く確立した治療法もない。しかし一方で肺高血圧症においては一酸化窒素(nitric oxide; NO)、NO合成酵素(NO synthase; NOS)の役割に関して不明な点は多いが、重要な役割を果たしていることが示唆されている。 本研究では、低酸素性肺高血圧におけるNOやNOSの役割の解明のため、合計5種類のマウス(野生型、n,i,eNOSシングルノックアウトマウス、NOS 完全欠損マウス: n/i/eNOSトリプルノックアウトマウス)を用いて、低酸素性肺高血圧症の詳細な病態機序を解明することを目的とした実験を行っている。 これまでに上記5種類のマウスを用いて低酸素性肺高血圧モデルを作成し、NOおよびNOSの役割についての比較検討を行った。結果は、NOS完全欠損マウスでは、野生型マウスや3種類のシングルノックアウトマウスと比較して肺高血圧の病態は有意に増悪しており、内因性NOS系が低酸素性肺高血圧に保護的に作用していることが明らかとなった。 今後はさらなるNOの詳細な機序解明を骨髄由来の細胞系などに注目し継続していく予定である。
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