腎臓の集合管細胞に発現しているTRPV4は炎症促進作用を有しており,この分子が現在決定的治療のない慢性腎臓病の新規治療の対象となる可能性を検証した.マウス集合管培養細胞の系において,TRPV4作動薬は炎症を惹起し,さらに,LPSやdamage-associated molecular pattern刺激による炎症惹起をTRPV4阻害薬は抑制した.一方,腎の無菌性炎症・線維化モデルにおいて,TRPV4ノックアウトマウス腎は,モデル・術後日数によって炎症の抑制・亢進双方が認められた.以上より,腎疾患の種類や病期に応じてTRPV4を治療対象として臨床応用する基盤となる研究結果が得られた.
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