研究課題
本研究の研究代表者は、腎尿細管間質の線維化に寄与するエピジェネティックなメカニズムおよび因子を同定するため、in vivoおよびin vitroの両方の実験を進めている。実験方法はヒストン修飾の中でも遺伝子発現の抑制マークであるH3K27me3を阻害する役割を持つDznepを慢性腎不全モデルマウスに投与し、その効果を観察した。本研究1年目に、laser capture microdisectionを用いて近位尿細管細胞のみを切りだし、高速シークエンサーによりmRNAおよびmicroRNAの網羅解析を施行した。最終年度であるH27年度には、bioinformatics専門の技術員と相談、討論しながら、虚血再灌流による急性障害によって発現が変化する遺伝子群、およびlincRNA群を同定した。さらにNCBIのデータベースに登録されているマウスのlincRNAのうち、急性虚血再灌流障害後8週間の慢性腎障害出現時点で尿細管細胞において発現が低下するlincRNA群、Dznepの8週間継続投与によりvehicle投与に比べて発現が上昇するlincRNA群を同定した。また、in vitroのサンプルにおいても、同様にRNA-seqの結果を解析したところ、低酸素刺激により発現が上昇するもののDznep投与に伴い発現が低下する遺伝子として複数の線維化関連遺伝子群を同定した。Dznepを投与することにより、in vivoにおいてもin vitroにおいても線維化関連遺伝子群が変化することにより腎尿細管間質の線維化が軽減する可能性が考えられた。
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