研究課題
遺伝性塩分感受性高血圧疾患である偽性低アルドステロン症II型(PHAII)は腎臓遠位尿細管におけるWNK-OSR1/SPAK-NCCリン酸化カスケードの亢進であることが明らかとなっている。近年、PHAIIの原因遺伝子としてCul3及びKLHL3が同定され、Cul3-KLHL3-WNKのユビキチンリガーゼ複合体形成がPHAIIの病態形成に関わることが示唆されている。本研究では同複合体の調節におけるインスリンの果たす役割を解析による高インスリン血症における塩分感受性高血圧の病態解明を目的としていた。質量分析を用いてKLHL3のkelch-repeat内のS433がリン酸化サイトであると同定された。WNK4によって免疫沈降されたKLHL3はS433リン酸化が減少しており、S433リン酸化でKLHL3はWNK4との結合を減少させることがわかった。In vitro kinase assayではAktによるKLHL3 S433のリン酸化が確認され、さらに培養細胞ではinsulinの刺激でKLHL3 S433リン酸化が各々亢進した。結果、我々はAktによるKLHL3リン酸化がWNK4との結合を制御することを明らかにした。これはインスリンによるWNKシグナル制御の生理的調節機構の1つであると考えられ、肥満患者など、高インスリン状態における塩分感受性亢進にも重要な役割を果たしていると考えられた。
すべて 2015
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