研究課題/領域番号 |
26860630
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
細島 康宏 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (50464003)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / バイオマーカー / メガリン / 近位尿細管 / エクソソーム |
研究実績の概要 |
糖尿病性腎症の早期診断と予後予測においては尿中アルブミンの測定が重要であるが、様々な問題点も指摘されており、新しいバイオマーカーの開発が求められている。メガリンは近位尿細管腔側に高発現し、多種の糸球体濾過蛋白質の再吸収・代謝と細胞内シグナル伝達に関わるエンドサイトーシス受容体である。これまでに研究代表者は、ヒト尿中メガリンELISA測定系を開発するとともに、メガリンの尿中排泄量の測定が、糖尿病性腎症患者の重症度や病態評価に有用であり、既存のバイオマーカーとは異なる新しいマーカーになり得る可能性を報告してきた。 しかし、メガリンの尿中への排泄機序についての詳細は未だに不明である。一方で、全長型メガリンの尿中排泄はエクソサイトーシスに関連することが示唆されるため、その機序について検討を行った。 糖尿病性腎症患者の尿から分離した尿エクソソームをナノ粒子解析システム(ナノサイト)にて解析したところ、健常者の尿に比較して総数が増加していた。さらに、ウエスタンブロットによる解析により、健常者に比較して、糖尿病性腎症患者の尿中エクソソームはメガリン含有量が多く、したがってその多くが近位尿細管由来であることが分かった。また、培養近位尿細管細胞において、終末糖化産物(AGE)化アルブミンの取り込みにより、メガリン含有エクソソームの排泄が増加した。 以上より、近位尿細管由来エクソソームの尿中排泄動態は糖尿病性腎症の発症および進展機序に関係しており、尿中全長型メガリンはそれを示すバイオマーカーとして有用であり、その解析を継続することは有意義であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、糖尿病性腎症患者の尿中エクソソームにおけるメガリンとその関連分子の動態の検討および、糖尿病性腎症モデルマウスにおける尿中全長型メガリン排泄機序の検討を行う予定であった。糖尿病性腎症患者における検討では、予定していたメガリンおよびその関連分子の解析に加えて、ナノ粒子解析システム(ナノサイト)による解析を行うことができ、より詳細な検討が可能であった。 糖尿病性腎症モデルマウスにおける検討では、現在、モデルマウスを作成中であり、近日中に検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、細胞外ドメイン切断型メガリンの逸脱機序の検討を行う予定である。培養細胞系で、酸化ストレスの亢進状態でその逸脱が増加するかについて検討する。また、糖尿尿性腎症患者の尿検体において、還元処理による細胞外ドメイン切断型メガリン測定を行い、腎症の病期や酸化ストレスマーカーとの関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内旅費が予想より低額であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、モデルマウスを作成中であり、その解析のための抗体などの試薬を購入する予定である。
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