本研究は,慢性腎臓病と腸管トランスポーターとの関連を,OCTN1およびその基質である食餌由来の抗酸化物質,ergothioneineに着目して検討したものである.CKDモデルマウスの小腸では,管腔側の細胞膜上に局在するOCTN1が減少し,ergothioneineの取り込みが低下していた.Ergothioneineが欠乏しているOCTN1ノックアウトマウスのCKDモデルでは,酸化ストレスが増大し,腎線維化が増悪することが確認された.これらの結果は,慢性腎臓病において腎臓と腸管との間に臓器連関が存在すること,および腎臓-腸管連関がCKDの進展に関与している可能性を示すものである.
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