研究課題/領域番号 |
26860634
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 篤史 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10704786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | NLRP3 / インフラマソーム / オートファジー |
研究実績の概要 |
①NLRP3ノックアウトマウスと野生型マウスに対して、尿酸および尿酸分解酵素(ウリカーゼ)阻害薬であるオキソニン酸を投与することによって、尿酸腎症を誘発したところ、NLRP3ノックアウトマウスでは、野生型マウスと比べて、尿酸腎症が軽減していることが、組織学的評価(PAS染色)ならびに腎機能検査(尿素窒素・クレアチニン)によって確認できた。 よって、高尿酸血症による腎傷害の過程でNLRP3が重要な働きをしていると考えられた。 ②また、近位尿細管特異的オートファジー不全マウスと野生型マウスを用いた尿酸腎症の研究においては、近位尿細管特異的オートファジー不全マウスでは、野生型マウスと比べて、腎障害が増悪していることが再確認できた。その機序として、real time PCRにより腎組織中のmRNAを評価したところ、近位尿細管特異的オートファジー不全マウスでは、野生型マウスと比べて、NLRP3のmRNAがより増加していることが確認できた。 よって、腎障害増悪の機序として、NLRP3が関与しており、オートファジー不全状態では、よりNLRP3が活性化されていると考えられた。おそらくは、オートファジー不全によるリソソーム傷害の増悪、活性酸素の増加などが原因として考えられるが、この点に関しては、in vitroにおいて、詳細な検討をしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NLRP3ノックアウトマウスの数が限られているなかで、尿酸腎症を誘発するにあたって使用する尿酸ならびにオキソニン酸の至適投与量を決定するのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
NLRP3ノックアウトマウスで得られた表現型(尿酸腎症の軽減)が、マクロファージのNLRP3欠損によるものか、尿細管細胞のNLRP3欠損によるものかどうかを見極めるため、マクロファージを抑制するクロドロネートを用いた実験で確認予定である。 また、近位尿細管特異的オートファジー不全マウスにおける尿酸腎症の増悪機序において、リソソームの傷害はすでに報告しているが、ミトコンドリアにおける活性酸素も関与していると考えられるため、その可能性について、in vitroにおいてオートファジー欠損尿細管細胞ならびに対照細胞に対して、尿酸結晶を負荷する実験において確認していく予定である。
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