我々は、以前、近位尿細管特異的オートファジー不全マウスにおける尿酸腎症の増悪を報告しているが、今回の研究では、real time PCRによりNLRP3、ASC、Caspase-1のmRNAの増加、ならびに、ウエスタンブロットによりIL-1βの増加を確認し、NLRP3インフラマソームによる炎症の増悪が機序のひとつとして示唆された。また、F4/80の免疫染色により、近位尿細管特異的オートファジー不全マウスでは、対照マウスと比べ、マクロファージの浸潤が有意に増加していることがわかった。すなわち、オートファジー不全状態では、マクロファージの浸潤が増加し、NLRP3インフラマソームを介した炎症が増悪していると考えられた。 in vitroにおいては、高尿酸状態(10mg/dl)ならびに尿酸結晶負荷、それぞれの環境に分けて培養実験を施行した。まず、それぞれの環境がオートファジー活性に与える影響について調べたところ、尿酸結晶によりオートファジーが停滞することがわかった。 次に、活性酸素(ROS)を検知する薬剤CellRoxを用いて、ROSを評価したところ、高濃度の尿酸に曝露されたオートファジー欠損尿細管細胞(Atg5(-)PTEC)では、対照細胞(Atg5(+)PTEC)と比べて、ROSが有意に増加していることがわかった。また、尿酸結晶負荷の環境では、Atg5(-)PTECにおいてのみ、Cathepsin BがLamp1陽性のリソソームから漏出している所見、すなわちリソソーム膜の破綻が観察された。さらに、それぞれの環境が細胞の生存率に与える影響をMTT assayを用いて評価したところ、尿酸結晶負荷の環境では、Atg5 (-) PTECにおける生存率が対照細胞と比べて、有意に低下していた。 これらの結果から、近位尿細管細胞におけるオートファジーは、高濃度の尿酸によるROSの産生、ならびに、尿酸結晶によるリソソーム膜の破綻の両者を抑制することによって、NLRP3インフラマソームによる尿酸腎症を抑制していると考えられた
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