研究課題/領域番号 |
26860636
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
北川 正史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80644377)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | FGF21 / FGF23 / 腎予後 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、「生命予後、心血管疾患発症、腎予後予測に関するEndocrine FGF(19/21/23)のバイオマーカーとしての意義」と題して、特にFGF21/23と腎予後について、研究を行った。腎イベントについては、Crの1.5倍化、腎代替療法とした。まだ観察期間が短期間であるため、心血管イベント、死亡イベントはほとんど起こっていない。2年間観察できた120例を解析対象とした。年齢の中央値は56(43-66)歳、男性62%、原疾患は糸球体腎炎59%、腎硬化症28%、糖尿病性腎症5%、推定GFR 56(24-73)ml/min/1.73m2、FGF21 296(90-560)pg/mL、FGF23 49 (31-102)pg/mLであった。2年間の腎イベントの発生は29例(1.5倍化は26例、腎代替療法は3例)であった。FGF21は有意にeGFRと負相関、蛋白尿と正相関を示した。FGF21を中央値(296pg/mL)で二群に分け、腎予後を見たところ、FGF21高値群は、腎予後は有意に不良であった(log-rank test:p=0.0002)。またCox比例ハザード解析を行ったところ、FGF21高値はベースラインの腎機能、蛋白尿と独立して腎予後を予測するバイオマーカーであることが示された。FGF23についても同様の解析を行ったが、特にFGF21はFGF23よりも予後予測能が優れていた。以上より、慢性腎臓病患者において、血清FGF21は、腎機能、蛋白尿と独立して腎予後を予測する有用なバイオマーカーであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例登録はすでに終了しており、FGF21/23の測定は終了した。解析については、まだ観察期間が短く、心血管・死亡のイベントがほとんどおこっていないため、腎イベントを解析している。FGF21/23についてのデータ解析は終了しており、FGF19の腎予後との解析がまだできておらず、今後進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに測定、解析に加えて、腎予後とFGF19/21/23を組み合わせた解析を行う。さらには、FGF19/21/23と心臓超音波との各種パラメーター(特に収縮能、拡張能指標)との関連についての解析を行う。また基礎的な解析を通してEndocrineFGFの意義について解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
EndocrineFGFのうち、FGF21/23の測定は終了したが、FGF19の測定ができておらず、購入をして鋭意測定をする予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に持ち越しになった額は、今後未測定の抗体、ELISA測定のための各種物品に当てる予定である。
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