研究課題
IgG4関連疾患(IgG4-RD)患者の血清学的検査、臓器病変数、血清線維化マーカーなどと予後との関連性を解析・評価した。方法としては、IgG4-RD患者(20名)において、血清学的/病理組織検査、FDG-PET/CTにて臨床所見を評価した。次に、多臓器病変(3臓器以上)を伴ったIgG4-RD(M)(10名)、限局性病変(2臓器以下)を伴ったIgG4-RD(L)(10名)において、血清学的マーカーの比較検討を行った。さらに病変数、線維化マーカー、予後との関連についても検討した。一部は健常群とも比較検討した。IgG4-RD(M)群では、(L)群と比較して、血清ChEが有意に低値であった(p<0.05)。IgG4-RD全体では、ChEと病変数、ChEと線維化スコア(肝線維化スコアを使用)はいずれも負の相関を、線維化スコアと病変数は正の相関を示した。他の線維化マーカーとして期待されている、Wnt阻害蛋白の一つであるDkk-1を測定した検討では、IgG4-RD(M)群は健常群や(L)群に比し有意に低値を示した。さらにDkk-1が低値であり、治療後も低値が続くものほど、血清CrnやeGFRなど腎機能障害の残存・進行および病変臓器萎縮が進行する傾向が認められた。以上のことから、IgG4-RDにおいて病変数と線維化マーカーは有意な相関を示し、病変数が多く、Dkk-1の低値が続くものほど線維化進行・腎障害進行が強い可能性が示唆され、また血清ChEはそれらを予期する可能性が示唆された。
3: やや遅れている
画像検査や血清学的評価などの前向き研究は順調に進展しているが、組織の一部を用いた各種サイトカイン、エピジェネティック修飾因子などの診断治療前後での測定評価については、時間を要するため、やや遅れている。
IgG4-RDの血清学的検査と画像・疾患活動性・線維化との関連の前向き検討については、引き続き進行させていく予定である。組織の一部を用いた各種サイトカイン、エピジェネティック修飾因子などの診断治療前後での測定評価については、他の施設の病理専門医にも協力頂き、作業を加速させていく予定である。
本年度は保存血清の処理も多く、一部のELISA測定などに時間を費やすことが困難であった。
保存検体を用いて、新規バイオマーカーとなりうる蛋白のELISA測定などをさらに効率よく施行していく予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Nihon Rinsho Meneki Gakkai Kaishi
巻: 38 ページ: 8-16
10.2177/jsci.38.8.
Modern Rheumatology
巻: 25 ページ: 161-3
10.3109/14397595.2014.926853.
PLoS One
巻: 10 ページ: e0126229
10.1371/journal.pone.0126229.