生体の主要臓器である腎臓は再生しないが発生期には腎臓を造り上げる前駆細胞集団が存在している。しかし、それらはネフロンを構成する細胞へと分化し生後には消失する。このことが腎臓が再生できない理由の一つと考えられる。本計画は、動物種を越えたネフロン前駆細胞の増幅培養法を確立することを目的とした。ラットのネフロン前駆細胞の維持に重要なLIFとWnt, Fgf及びBmpを低濃度で組み合わせることにより生体の期間と数の限界を超えてマウスの前駆細胞を増幅することに成功した。今後はヒトiPS由来のネフロン前駆細胞の培養法として凍結保存や移植にも応用できるよう改良し、腎臓再生医療の基盤構築を目指す。
|