研究課題
近年、細胞質のタンパク質やリン酸脂質構成等の変動に伴った細胞内環境変化により生ずる生理的小胞体ストレス応答の役割やその破綻が要因となり生ずる病態生理が様々な組織において注目されている。本研究課題は腎機能における生理的小胞体ストレス応答の役割を明らかにし、腎臓の病態解明に迫ることを目的としている。前年度は各種腎細胞培養系(mesangial cell, tubular cellなど)を用いて、小胞体ストレスセンサータンパク質の活性化機序に関与することが想定されている候補分子をスクリーニングしたところ、小胞体ストレスセンサータンパク質に関与することが考えられる分子を複数同定した。それらの中には小胞体ストレスセンサータンパク質と相互作用している可能性がある分子も含まれていた。本年度はそれらの分子の機能をいくつかの方法で阻害(ノックアウト、ノックダウン、阻害剤)し、微弱な小胞体ストレス応答の誘導に関与しているかどうか、種々の解析を行った。その結果、定常状態で誘導されていた微弱な小胞体ストレス応答の誘導が抑制されていることが分かった。この結果は、阻害剤を用いたin vivo実験でも再現性が認められた。この時、腎臓の組織学的解析を行ったが、特に病変部などは観察されなかった。今後、微弱な小胞体ストレス応答の破綻が腎機能にどのような影響を与えるのかを明らかにするには、老化による腎機能障害等に焦点を当てて、経示的な解析が必要とされる。
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Front Oncol
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