研究課題
本研究は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)活性化機構の分子機序について、新規MR転写共役因子として我々が注目したEvi-1の機能解析および高血圧発症における意義を解明することを目的としている。前年度までの成果では、in vitroの解析系において、Evi-1ノックダウン下でMR転写活性の増強を認め、SETドメインを持つEvi-1構造から予想されるとおり、MRのコリプレッサーとして機能することが示唆された。一方、興味深いことに、Evi-1の過剰発現下においてもMR転写活性の増強を認め、この相反する結果の解釈および詳細な分子機序の解明が課題となっていた。Evi-1には、SETドメインをもつEvi-1cに加え、SETドメインを欠いたEvi-1aというアイソフォームも存在しており、このEvi-1aがドミナントネガティブとして働くために、このような複雑な表現型を呈することを想定し、検討を進める予定であったが、平成27年度は産休期間に入ったため、研究を継続することが困難となり、研究費は次年度(平成28年度)へ繰り越しとした。
4: 遅れている
平成27年4月から平成28年1月まで産前産後休暇・育児休暇を取得したため。
上述のとおり、Evi-1には、全長のEvi-1cに加え、SETドメインを欠きドミナントネガティブとして作用すると考えられるEvi-1aという別のアイソフォームが存在するため、これらの機能を識別できる解析系の確立が求められる。ノックダウンシステムのデザインを工夫するなどのアプローチでこの課題を克服していく。また、我々が有する新規MR結合タンパクのリストには、他のヒストン修飾酵素も含まれており、Evi-1の解析が困難となった場合は、別の角度からMRとヒストン修飾酵素の関連を解析していくことも検討している。
平成27年度は産前産後休暇・育児休暇のため27年4月から28年1月まで研究を中断した。28年2月の研究再開後、2ヶ月間は学会発表準備や論文作成に充てる時間が多く、直接経費を使用しなかった。このため直接経費は全額次年度(平成28年度)へ繰り越しとした。
28年4月以降は前述の研究計画に従って動物実験を行う予定であり、主に物品費として使用する計画である。
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