研究実績の概要 |
2型糖尿病腎症の発症・進展抑制に対するカロリー制限の腎保護効果と糖代謝に及ぼす影響を検証するため、2型糖尿病モデル動物である、Zucker Diabetic Fatty (fa/fa)(ZDF)ラット(7週齢雄)と非糖尿病Zucker Lean (ZL)ラットを通常食群と40%カロリー制限食群に分別し、18週間飼育した。体重・摂食量は毎週、血糖値(空腹/随時)は2週間ごとに測定し、18週後にHbA1C値・尿アルブミン排泄量(UALB)・腎重量・腎組織(PASおよび、マッソン・トリクローム染色によるメサンギウム領域の拡大・線維化)を評価した。糖尿病ラットの通常食群と比較してカロリー制限食群において、体重(通常食:カロリー制限食 382.4±40.9:390.7±94.9g, n=5, NS)は有意差を認めなかったが、腎重量(通常食:カロリー制限食3.24±0.34:2.41±0.14g, n=5, p<0.001)は有意に減少した。また、糖尿病カロリー制限群では、通常食群に比べ、血糖値(通常食:カロリー制限食 635.5±35.9:229.4±101.1mg/dl, n=5, p<0.001)およびHbA1C値(通常食:カロリー制限食 8.8±0.90:5.8±1.69%, n=5, p<0.001)の有意な低下を示した。さらに糖尿病カロリー制限食群は、通常食群と比較して、UALBの有意な低下(通常食:カロリー制限食 3479±2705.6:22.55±34.84mg/gCr, n=5, p<0.001)及び、腎組織(メサンギウム領域の拡大と尿細管間質の線維化)の改善を認めた。以上より、カロリー制限は、2型糖尿病ラットにおける糖代謝の改善と腎保護効果を示すが、今後、カロリー制限のサーチュインの活性化、さらにミトコンドリアの恒常性維持に係わる詳細を明らかにする予定である。
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