研究課題/領域番号 |
26860659
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
関口 縁 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10568653)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロテアソーム阻害剤 / 神経軸索機能検査 / 薬剤性ニューロパチー |
研究実績の概要 |
プロテアソーム阻害薬は、細胞内のプロテアソームを阻害することにより複数の経路で腫瘍細胞増殖を抑えるとされる。現在国内では多発性骨髄腫の造血幹細胞移植困難症例や再発・難治症例に対し使用され、従来の抗がん剤と比べて非常に高い効果を示しており、今後の使用拡大が見込まれる。一方で副作用として末梢神経障害が効率に出現し、薬剤減量や中止の原因となっている。プロテアソーム阻害薬の末梢神経障害発症機序は、ミトコンドリア機能異常が軸索のNa-Kポンプ異常を引き起し、脱分極を生じると推測されているが、既報告は上肢の評価のみであり症状の中心となる下肢での評価は困難であった。 本研究はプロテアソーム阻害薬による末梢神経障害の機序解明とその抑制に関して、神経近傍針電極を用いた軸索機能検査によって、臨床的・基礎的検討を行うことを目的としたものである。本年度は正常値の確立と、プロテアソーム阻害薬使用の前後で患者の腓腹神経で軸索興奮性を評価し、下肢における末梢神経障害のメカニズムを解明することを目標としていた。対象年齢と一致させた正常対照の作成および一部患者の評価を行い、神経近傍針電極を用いた軸索機能検査が有用であることを示した。一方で腓腹神経と同時に、皿電極による正中神経の感覚神経でも同様の検査を行い、上肢と下肢で障害の時期や程度に違いがあるのか、また評価を行う上で針電極を使うことの有用性の評価も行っている。 研究の中断があったが、上記を踏まえ被験者の数を増やし、検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は神経近傍針電極を用いた軸索イオンチャネル機能検査法を下肢末梢神経で行い、ボルテゾミブによる末梢神経障害の機序について検討する事を目標としていた。しかし2014年秋に産前・産後休暇を取得したため、研究が中断された。本年度に患者の選定・診察・評価を再開し、研究を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進のためには、対象患者の選定が重要である。勤務する病院において、化学療法を通院で行う治療室があることから、その治療室での患者のリクルートや検査の実施を行い、円滑な症例蓄積が行えるよう計画および実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の遂行に必要な機器を購入し、治療を行っている場所で検査を施行する事を可能にし、患者への負担を軽減して症例の蓄積をより円滑に行う予定であった。しかし10月から休業したため、継続的に患者を診察および評価することができなくなったため、購入を見合わせた。
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次年度使用額の使用計画 |
機器の購入を行い、研究を遂行できるようにする。
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