本研究では、パーキンソン病で脳に蓄積するα-シヌクレインを、非標識下に生きた細胞・組織中で定量的に検出する方法論の開発を行った。成果として、培養細胞や組織標本を対象に、安定してラマン分光画像を測定する測定系を開発できた。これを用いて、試験管内で作成したα-シヌクレイン凝集体、培養細胞中に形成したα-シヌクレイン凝集体のラマン分光画像を測定し、化学構造を反映したラマンシフトの空間分布を解析した。α-シヌクレイン凝集体のラマンスペクトル波形には、非凝集状態では認められない特徴的なラマンシフトが存在し、この波形がα-シヌクレイン凝集体の分子特異的マーカーとして、生体内で機能する可能性が示唆される。
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