橋本脳症(HE)は、辺縁系に病変を有し記憶障害や情動障害などの症状を呈することがあり治療可能な認知症の鑑別疾患上重要である。抗NAE抗体(autoantibodies against the NH2 terminal of α-enolase)陽性辺縁系脳炎型HE 14例を対象とした研究では、急性発症例で意識障害や痙攣を、亜急性例で精神症状や記憶障害を呈することが多く、免疫療法が奏功または自然軽快した。腫瘍随伴は認めなかった。更に、患者血清はラット海馬ニューロンの細胞質に免疫反応性を示した。 抗NAE抗体は治療反応性を有するHEの診断に有用で、本症の病態生理に関与している可能性も示唆された。
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