球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人発症の神経筋変性疾患で,遺伝子内のCAG繰り返し配列の異常伸長により形成された異常タンパク質が運動ニューロンに集積し様々な転写障害を起こすことが分かっている.本研究はこの転写障害の原因として,エピジェネティックな修飾であるDNAメチル化の異常が遺伝子発現の不当な抑制を来しているのではないかという仮説を検証するものである.その結果,SBMAモデルマウス脊髄運動ニューロンにおいてDNAメチル化酵素1(Dnmt1)が異常発現していること,DNAメチル化酵素阻害剤であるRG108を細胞モデルおよびSBMAモデルマウスに投与することで病態が改善することを見出した.
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