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2015 年度 実施状況報告書

神経免疫疾患におけるバリア破綻機序の解明:中枢,末梢神経のバリア機能の違いは何か

研究課題

研究課題/領域番号 26860669
研究機関山口大学

研究代表者

安部 真彰  山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (80598748)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード血液神経関門 / desert hedgehog
研究実績の概要

H26年度にヒト血液脳関門(BBB)構成内皮細胞とヒト血液神経関門(BNB)構成内皮細胞の網羅的な遺伝子解析・比較を行った.この結果,ヒトBBB構成内皮細胞とヒトBNB構成内皮細胞ではtight junction関連分子の発現が異なっており,BBBとBNBでは異なる機序でバリア機能を維持しているを考えられた.また,GSEA(gene set enrichment analysis)を行い,hedgehog signaling familyがBBBとBNBのバリア機能の違いに関与している可能性を明らかにした.H27年度は上記の結果を基に研究を継続した.ヒト脳微小血管内皮細胞株(TY10)及びヒト末梢神経内微小血管内皮細胞株(FH-BNB)に対しsonic hedgehog,desert hedgehogを作用させ,バリア機能とtight junction関連分子発現の変化を検討した.Sonic hedgehogはTY10,FH-BNBのそれぞれのバリア機能を変化させなかった.Desert hedgehogはTY10のバリア機能を変化させない一方で,FH-BNBのバリア機能を上昇させた.Tight junction関連分子については,desert hedgehogをFH-BNBに反応させたときにのみclaudin-5の蛋白量が増加した.Desert hedgehogは末梢神経内でシュワン細胞が産生し,そのknockout mouseは末梢神経障害を呈することが報告されている.H27年度の研究で,BNBのバリア機能維持にdesert hedgehogが重要な働きをしている可能性が明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成27年度はdesert hedgehogがBBBとBNBのバリア機能に影響を及ぼすかどうかを検討した.実験の結果,desert hedgehogがヒトBNB構成内皮細胞のバリア機能を上昇させ,claudin-5の蛋白量を増加させることが明らかになった.しかし,その詳細なメカニズムや免疫性神経疾患への関与は明らかになっておらず,研究は予定より遅れていると考える.

今後の研究の推進方策

平成28年度はdesert hedgehogがBNB構成内皮細胞のバリア機能のみを上昇させる機序を解明し,その後,同蛋白が免疫性末梢神経疾患へ関与するかどうかを明らかにすることを目標にする.具体的にはsmoやgliといったhedgehog signaling pathwayに関わる蛋白の阻害剤を使用して,同pathwayのうちどのようなシグナル伝達経路がバリア機能に関わっているかを明らかにする予定である.その後,CIDP患者血清をBNB構成内皮細胞へ作用させることでdesert hedgehogに関わる遺伝子の変化を検討する予定としている.

次年度使用額が生じた理由

H27年度はdesert hedgehogのみをターゲットとした解析を行っており,他の遺伝子や蛋白の解析が予定より少なかったため次年度使用額が生じた.

次年度使用額の使用計画

細胞培養液や細胞培養用ディッシュなどの細胞培養のための消耗品,ウエスタンブロッティングや免疫細胞化学による解析のための抗体,各種阻害剤を複数購入する.研究成果をいち早く臨床の現場にフィードバックするため,国内外での学会発表のための旅費と論文作成のための英文校正の費用を計上する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Desert hedgehogが血液神経関門の バリア機能を制御する2015

    • 著者名/発表者名
      安部真彰
    • 学会等名
      第26回日本末梢神経学会学術集会
    • 発表場所
      長野県松本市(ホテルブエナビスタ)
    • 年月日
      2015-09-18 – 2015-09-19

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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