研究課題
我々は免疫抑制剤FK506がオートファジーを活性化させる作用を有していることを報告した(Nakagaki et al, autophagy 2013)。オートファジー活性の調節因子として最も知られているのはmammalian Target of Rapamycin(mTOR)であり、mTOR阻害剤である Rapamycin,Torin1,Torin2などはオートファジー活性剤として様々な実験で使用されている。我々はmTOR阻害剤に感受性の遺伝性ヒトプリオン病由来のプリオン株(Fukuoka-1株)とmTOR阻害剤に抵抗性を示すヒツジのスクレイピー由来のプリオン株(22L株)を感染させた細胞を用いてmTOR阻害剤及びFK506の抗プリオン効果について比較検討した。mTOR阻害剤はFukuoka-1感染細胞において最大で40%程度PrPScを減少させたが、22L感染細胞においてはほとんどPrPScを減少させなかった。一方でFK506はFukuoka-1および22Lのいずれのプリオン株に対しても70%以上PrPScを減少させていた。以上からFK506はmTOR阻害剤よりも強力で株に依存しない抗プリオン効果を有することが分かった。しかし、FK506の抗プリオン効果がオートファジー活性化によるものだけかは明らかになっていない。今後はATG5などのオートファジーに必須の分子をノックアウトもしくはノックダウンしたプリオン感染細胞においてFK506がPrPScを減少するか検討する予定である。
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