研究課題
トランスサイレチン(TTR)型家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)におけるアミロイド線維形成と分解の舞台である細胞外マトリックスの主要構成細胞である線維芽細胞のアミロイドーシスの病態との関連について解析を行った。線維芽細胞は種々のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を産生、分泌するが、in vitroにおいて、TTRと各種MMPを共存させるとMMP1, MMP9によりTTRが分解されることがウエスタンブロティングおよび質量分析法により示唆された。またヒト皮膚由来の線維芽細胞初代培養を1型コラーゲンゲルによる三次元培養環境下で行い、野生型TTR(凝集体/非凝集体)、異型TTR(凝集体/非凝集体)、断片化TTR(線維化/非線維化)を含む種々のTTRを添加して培養を行ったところ、断片化TTR以外ではTTRのアミロイド化は誘導されなかった。断片化TTR(線維化/非線維化)添加では、線維芽細胞周囲および内部にアミロイド線維が形成および沈着し、経時的にアミロイド沈着構造が複雑化し増大する現象がみとめられた。電子顕微鏡および共焦点顕微鏡による観察では、線維芽細胞内に多量のアミロイド線維が蓄積している像がみとめられた。FAP患者の剖検組織では心筋の弁組織、皮下組織などで、形質転換した筋線維芽細胞とアミロイド沈着の近接性が観察された。本研究により線維芽細胞がTTRアミロイドの線維形成および分解系の双方に関連していることが示唆された。また、線維芽細胞が細胞外マトリックス中に拡散したTTR線維を細胞内および細胞周囲に集約させ、TTRアミロイド沈着の形態を規定する役割を果たす可能性が示された。
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