研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD) におけるすくみ足は, 固縮・寡動・振戦などの運動症状とは独立した障害と考えられている. ノルアドレナリン神経系の関与も示唆されている. すくみ足と青斑核の関連を芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)に対するリガンド6-[18F]fluoro-m-tyrosine (FMT)を使用した高解像度のpositron emission tomography (PET)計測により検討した.対象は特発性のPD患者で,運動症状はUPDRSのPart3により, すくみ足はFreezing of gait questionnaire (FOGQ) により評価した. FMTを静注後,PET-CT装置で撮影しvolume-of-interestを尾状核, 被殻, 青斑核,側坐核に設定した. 各部位と小脳とのFMT集積比を計算し, FOGQとの関連を検討した.PD患者の青斑核のFMT集積は罹病年数と共に低下した. UPDRS運動スコアと青斑核FMT集積は逆相関を認めたが,被殻FMT集積でより強い相関を認めた. FOGQと青斑核FMT集積も逆相関を認めたが,被殻FMT集積と比べより強い負の相関が認められた. FMT-PETを使用したin vivo解析により, PDにおけるすくみ足の発現は, ノルアドレナリン機能を反映すると考えられる, 青斑核AADC活性の低下と関連があることを明らかにした. また,PD患者において遂行機能障害や視覚認知機能障害をはじめとした認知機能障害が効率に合併することが知られており、尾状核機能との関連が推測されている.ハノイの塔などの神経心理検査及びPET解析を継続している.
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